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「ワイマール憲法」とヒトラー、「日本国憲法」と小泉-⑲

<18>比例代表制の罠と、独裁者待望論

杉村太蔵という男がいる。

彼こそ、今回の選挙に咲いた徒花の一つであろう。

同郷の人間をあまり悪く言いたくはないが、武部勤が

「彼(タイゾー)は、今参議院の全国区に出れば間違いなく最多得票で当選するだろう」

とまで言った。

彼が選挙活動でもしようものなら、必ずやボロが出るであろうことは、

他ならぬ自民党が彼に緘口令を敷いていることからも明らかである。

とまぁ、しょう~もない話から始めてしまったわけでありますが、

彼のようなどうしようもない人間でも当選する可能性を持つ選挙制度こそ、

これから問題にする「比例代表制」なのである。

ワイマール憲法においては、国民議会議員を選出するためには

必ず全数を比例代表制で選挙するように明記されている(ワイマール憲法第22条)。

メリットは、全有権者の票が平等に扱われる点である。

また、死票が無いため全有権者の意見が素直に議席に反映される。

しかし、この制度では政治家ではなく政党を選ぶ方式になってしまうために、

民意が非常にアバウトな形でしか政治に届かなくなってしまう。

また、それこそタイゾーのような怪しげな人間でも当選できる可能性を残してしまう。

1930年のナチス党も、これと同様にずいぶんと怪しげな人間を

比例名簿に書き込んでいた。

当のヒトラーはもちろんのこと(ミュンヘン一揆の首謀者として実刑を受けている)、

政治的暗殺犯の前科を持つハイネスという男が名簿に書き込まれていたのである。

そして、ドイツがほんの10数年前まで君主制を採っていたことも少なからず影響した。

君主制とは、言うなれば君主が何でも決めてくれる制度である。

考えようによっては、これほど気楽な制度はない。

善政を敷く者なら、その人に全て委ねていればいいわけだし、

悪政を敷く者ならば、その人の責任できる。

しかし民主主義というのは、その迂遠さ以上に責任の一端を負う

(実際にそんな人はいないだろうが)面倒な制度なのである。

そこに、ヒトラーという指導者の役を買ってでるような男が現れたのである。

彼は、さほど広くないドイツという国土を飛行機を使って精力的に遊説し、

その得意の弁舌を振るった。彼の感情的な言葉が人々の心情に直接的に訴え、

人々はそれに魅了され感銘を受けた。

それが、投票活動に結びつきナチス党の大躍進に貢献したのである。

翻って日本である。日本には、実は独裁の時代というものが存在しない。

武家政権が独裁だと思っているものもいるかもしれないが、

かれらでさえも、民衆を直接支配していたわけではない。

形式的には明治天皇が独裁に近かったのだが

(ドイツ帝国を手本に国家作りを始めたのだから当たり前なのだが)、

それが徹底されなかったのは、憲法を作ったのが実際には天皇ではなく

臣たる伊藤博文たちだったからである。

そのツケが出るのが第2次世界大戦である。

昭和天皇にはあの戦争を抑える術を実は持たされていなかった。

いや、正確にはあったのかも知れないが、

天皇にはそれができなかったのではなかろうか。

御前会議というものが、実は厄介な制度である。

あれは、天皇の前で文官のトップと武官のトップが話し合うというものだが、

天皇はそこでの決定に実際には異議を唱えることができないとされている。

つまり、国家の最重要決定機関に天皇は見ているだけの役なのである。

よって、戦前の日本もまた独裁ではないといえるのである。

現在、小泉を「現代の信長」ともてはやすものがいる。

日本史上において、恐らく信長こそもっとも独裁に近い存在であっただろう。

ということは、現代の日本国民は心の底では独裁を望んでいるのではないだろうか。

兆しは無いわけではない。例えばオウム真理教(現アーレフ)である。

麻原彰晃に惹かれたのはその断定的な口調であったからだともいわれている。

彼、もしくは彼の周辺はヒトラーとナチス党のことを研究したのではないだろうか。

そして、その理論を応用してオウムを拡大していったのではなかろうか。

そして小泉である。

今日決められた造反議員への向かい方をみても、

彼の行く先には「ヒトラー」か「裸の王様」が見え隠れするのだが・・・。

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