「自民党憲法草案」を考える-(9)
<9>地方自治
これも、最近いろいろと話題に上がっている第8章「地方自治」について。
まずは、地方自治の本旨を示した新設の91条の2。
この名前はあくまでも便宜上のこと。
いままでこんなことも規定していなかったぐらい「日本国憲法」は穴だらけだったのだが、
これは、何も当時の日本政府が悪いのではなく、
事実上の草案を作ったアメリカ人にとって、
「地方自治」という概念そのものがなかっただけのことである。
アメリカでは各州に憲法が存在するため、
連邦法によってわざわざ規定する必要がなかったのであるから、
まぁ、仕方ないのだろうが・・・。
とはいえ、この一事を取り出しても「日本国憲法」は
日本人によってではなく、アメリカに与えられた憲法であるという
一つの証左たりうるだろう。
閑話休題、「草案」の条文に戻るが、
本旨としては第1項、第2項ともこれで問題ないように思える。
まぁ、定義付けのようなものだから、いちいち突っかかることもない。
このぐらいのことは、憲法を作った時点で規定しておくべきことであっただろう。
次の、これまた新設の第91条の3では地方自治体を基礎地方自治体と、
広域地方自治体の2種類を規定している。
これがあれば、道州制や年金や保険などの広域化を
スムーズに行うためには必要なことだろう。
しかし、次条を読めばまた呆れ返ってきてしまう。
92条では、「国及び地方自治体は、地方自治の本誌に基づき、
適切な役割分担を踏まえて、相互に協力しなければならない」としている。
今までの政権で「3割自治」を達成して、
すっかり自治体を国家に隷属化させてきた自民党が、
舌の根も乾かぬうちによくも言えたものである。
まぁ、コイズミ的には「オレはこれだけ新しいことを考えてるんだ」と
自慢の一つもしたいところだったのだろうが、
だったら来年9月で引退などといわず、
これらの思想の全てを死ぬ気で達成してもらいたいものである。
郵政法案成立後のコイズミには、全くやる気というものが感じられない。
まだ任期が残っているというのに、すっかりOFFモードである。
やる気を見せろ、コイズミ!
さて、そのあとも新設の第94条の2。これも「3割自治」に関すること。
第1項だけ読めば、「地方自治体は、基本的には自分で財源を確保してね」
と言っているようにしか聞こえない。
いきなり、そんなの無理に決まってるじゃない。
国の財源移譲が遅々として進んでいないのだから、
やはり、有言実行してもらいたいところ。
だからこそ、第2項で「国は、自治体が財源を確保できるように必要な措置を施すこと」
と言っているのだろうから。
「草案」で理想を述べ立てるよりも、まずは態度で示してもらいたい。
「口を動かす前に、まず手を動かせ」と、私は言いたい。
(なに、私もだって・・・。これは失礼・・・)
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