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映画 「剱岳 点の記」

雄大な自然。
ちっぽけな人間。
美しい自然。
みにくい人間。

猛々しくも美しい立山の自然に対して、
特に軍上層部の何と醜いことか。
日露戦争を大勝利と言ってみたり、
とにかく山岳会より先に登れと詰め寄ったり、
初登頂が修験者だった事実を伏せさせようとしたり…。
ま、あんな軍人どもが頭を固めてるから、
あの戦争で負けるんだろうけど。

それに対して登山隊のひたむきさ。
救われたような気持ちになる、はずなんだけど…。
皮肉たっぷりのラストと、
美しすぎる立山の自然に霞んでしまうんだなぁ。
それはそれで、非常に奥ゆかしくて、
日本的でいいことなんだろうけど…。

『ノーCG』なんてコピーがあの映画に似つかわしくないことは、
充分承知しているつもりだが、
なぜかメイキング無しには感動できない自分がいるわけで…。
美しい景色を見せたいのなら、
ドラマの部分ははっきり言って邪魔だし、
山に挑む男たちに生き様を描くなら、
途中のアイキャッチみたいな景色は気持ちを和ませてしまうだけだ。
つまり主題がぼやけているわけで、
確かにスタッフ含めてかなりの難事業に挑んだことはわかるが、
それがスクリーン越しにはあまり伝わって来ない。

以前テレビでこんな話をしていた。
試写会の終わり、
誰か(記憶では監督本人)が試写会を観たお年寄りから
「あのシーン、うまくCG使いましたね」
と言われたらしい。
あまりにもCGやVFXが進化した現代においては、
『マッハ!』や『チョコレートファイター』のように、
「ノーCG」をうたってこそ
はじめてそのすごさを示すことができる。
確かに観客がそういうものに毒されているのかもしれないが、
逆に言うとそれがウリになる時代とも言える。
おくゆかしさは日本人の美徳かもしれないが、
それだけでは「日本人は何考えてるのかわからない」と
言われてしまう。

良くも悪くも今年の日本映画を代表しうる作品。
美しい景色を見るだけでもそれなりの価値はある。
人間ドラマ。そういうのは他でも見れるでしょう、きっと。

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