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テレビ番組『NHKスペシャル 世界ゲーム革命』 & 映画『ゲーマー』再評価

近頃かなりオタク寄りなNHKが、
ついにTVゲームでスペシャル番組を組んできた。
かなり刺激的な内容だったので、
あらすじ風にレビューしていこうと思う。

(1)アメリカ人が大好きなFPSの話。
題材は、北朝鮮がアメリカ本土まで攻めてきたから、
プレイヤーがそれを打ち負かすというもの。
アメちゃんて、北朝鮮がそんなに怖いんですかねぇ。

(2)アメリカのゲーム業界の話。
今やアメリカのゲーム市場の規模は、映画以上。
しかも、映画市場自体が縮小しているわけではない。
それでいて映画業界からも、
新たな表現のステージを求めて続々参入しているというありさま。
アメリカ人の、こういうギラギラしてるところが、やっぱヤベェと思うわけ。

(3)「ゲームエンジン」という、ゲーム製作用のOSを使ったゲーム作り。
高画質でカメラワークにもこだわった映画のようなゲームを、
プログラム言語を知らなくても作れるようになった。
ある意味、もう画質競争をしていても活路はない、とも言える。

(4)日本のゲーム業界事情。
1995年、世界シェアの7割を占めていたといわれる日本のゲーム。
2009年、3倍に膨らんだゲーム市場の中でそのシェアは3割にまで減少。
これをもう少し具体的にしてみると、
1995年、100の土地のうち70の土地を占有していた日本。
2009年、開拓が進んで300の土地になったのに、
日本の土地は90ぐらいにしか増えてない、ということ。
こりゃまずいってんで、ついに国が動いた。
「経済産業省 クールジャパン室」がそれである。
しかし、年間予算わずか20億円。
(2)で、10億円規模でゲーム作りをしているという話が出てきているだけに、
この金額はいかにも少ない。
ゲーム2,3本作ったら吹っ飛びそうな予算設定である。
しかも、大くくりに「クールジャパン」と言って予算取ってきてるわけだから、
20億円でアニメやマンガの振興も行わなければならないだろう。
国のやる気がうかがえる。

(5)「二ノ国」の話。
ジブリと組んだこの作品。
しかし、(3)で非常に効率化されたゲーム制作の現場を見た後だけに、
あまりにもアナログで(アニメ絵をゲームに落とし込む作業が膨大)、
単純にいえば完全な労働集積産業。
しかも、苦労して作ったアニメーションにジブリからダメ出しを食らう。
いくらかかってんだか知らないが、儲ける気あるんだろうか。

(6)カナダにあるゲーム評価会社の話。
昔日本のゲーム会社にもいたデバッガーとは少し違う、
プレイヤー視点で開発段階のゲームをやりこんでテストするという会社。
プロゲーマー(韓国などに存在する)もそうだが、
この会社のテストプレイヤーはこの会社から給料をもらい、
寮もあてがわれている(機密保持のためとも言えるが)。
こうやってちゃんと雇用を創出しているという意味では、
日本のゲーム業界よりもよっぽど国家に貢献していると言える。
それと、(5)の話に戻るが、欧米はちゃんと儲けに行ってる。
評価会社でゲームに関して厳しい意見が飛び出し、
それがストレートに制作会社にフィードバックされる。
売れるゲームを作るという意味では、もう日本は追い抜かれていると言えるかもしれない。
ただ、ゲーム漬けを強要されるだけに、やはり厳しい仕事ではあるようだが…。

(7)ゲームに対する科学的アプローチと「キネクト」
ゲームが脳に与える影響を調べて、
何が面白いと感じ、集中力をいかに発揮させてのめりこませるかを、
クソまじめに研究している。
マイクロソフトからは、人体を使ってコンピューターを操作する技術研究の話。
生まれては消える「ウェアラブルPC」の研究を、
マイクロソフトは相変わらずやっているわけだが、
「i-Phone」のような小型のPC的なものが登場したことで、
このあたりも間もなく実用段階に入ってくるのではないだろうか。
で、その成果の一つが「X-BOX360 キネクト」というわけ。
ロシアでは、脳波による機械のコントロール(番組中ではラジコンを操作)、
脳波によるコミュニケーションの研究者が登場。
しかし、国から金を引き出せないから、
この技術をゲーム会社に公開して共同研究を持ちかける。
研究者は言う。「ゲームは新しい麻薬になりうる」と。
まぁ、エンドルフィンやドーパミンのような脳内麻薬を、
人間は初めから持ち合わせてるわけだから、当たり前といえば当たり前なのだが…。

(8)日本のゲームの未来
水口哲也氏の「Child of Eden」のお話。
(以下ほぼ私見)
以前から、Wiiリモコンみたいな体験型ガジェットには限界があると思ってたわけ。
・視点が固定される
・気がつけばスポーツものばかり
で、PS3もX-BOXもそれに追随すると聞いたときは、
正直「まずいんじゃねぇの、これ」とも思ったわけ。
でも、「Child of Eden」を見てちょっと変わった。
視点が固定されるのはともかく、
直観的な操作形態をうまく生かした、かつスポーツ系じゃないゲームが、
ようやく出てきたな、ということ。
(7)に関連して、操作するばかりではなく
ゲーム側からの視覚や聴覚以外のフィードバックの道も模索しているようで、
制作会社と発売元との切磋琢磨がシナジーを起こしているのはいい傾向だと思う。

以上から、ワシの感想を。
(1)日本は、何度同じ負け方をすれば気が済むんですか。
人海戦術が利く労働集積産業にしてしまったら、
人口減少すら騒がれている超高齢国家日本では太刀打ちできませんよ。
あの戦争みたいに、圧倒的な物量差で押し負けてしまいますよ。
それとも、この業界もすでにガラパゴス化してるんでしょうかねぇ…。
てゆーか、技術でももう負けかけてるし、
マジで勝つ気があるのかどうかすらもわからんし
(こんなこと言うと、「勝つとか負けるとか関係ねぇし」とか言われそうだが…)。

(2)アメリカ映画業界の厳しい危機感が生んだ「GAMER」という映画。
今月初め、「GAMER」という映画を観ました(レビューも参照)。
観た時は、わりとフツーなB級アクションにしか見えませんでしたが、
この番組観てから考え方が変わりました。
・拡大し続けるゲーム業界に食われかねないという危機感を、映画業界は抱いている
・現実と虚構の垣根が技術の進歩によってなくなりつつある。
 この映画は、それを端的に表現している。
この2点において、この映画は非常に評価できると考えまして、
☆は4つに格上げ。
つまり、日本のゲーム像ばっかり追っかけていては、
あの映画は理解できないということ。

ゲーム業界を産業化したした日本の功績は大きいと思いますが、
真珠湾攻撃で航空機動部隊を始めて運用した後、
戦闘機の大量生産競争で完敗したのと同様に、
生産力競争で敗北してしまうと思うよ、このままでは。

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