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映画 『ブラック・スワン』(☆☆☆)

「ピンチこそチャンス」なんて、
最近の経済書に書かれることがあるけど、
今作はある意味逆もまた真なり、といった感じの作品。

バレリーナのニナ(ナタリー・ポートマン)は、
良くも悪くも真面目で、
母(バーバラ・ハーシー)もダンサーだったことから見ても、
線の細い二世ダンサーだと言えるかも知れない。
そんな彼女にようやくチャンスが巡ってくる。
『白鳥の湖』のヒロイン、白鳥役である。
しかし、演出家のトマス(ヴァン・サン・カッセル)は、
今回の『白鳥の湖』を新しいものにしようと、
特殊な演出を施した。
白鳥の恋敵である黒鳥役と二役をこなす、というものである。
話しの筋から見ると、トマスはニナを新しいスターとするべく、
一皮剥かせようとこの演出を用意したように思われる。
しかし、真面目で実家住まいで男もろくに知らないニナにとって、
男を寝取るような妖艶さを要求される黒鳥役は酷だった。
しかも、代役に擬せられたリリー(ミラ・クニス)は、
白鳥役はともかく黒鳥役には最適と思われる、
妖艶な魅力を持っていた。
プレッシャーに押しつぶされそうになるニナ。
だんだん周りの全てが疎ましく思われるようになり、
舞台の日は刻々と迫る。
ニナは、果たして無事勤め上げることができるのか…。

観ている途中、ふと上原美優のことが頭をよぎりました。
真相に関しては闇の中なわけですが、
彼女も様々なプレッシャーに悩んでいたようですし、
そういう意味ではこの作品と相通ずるモノがあるんかな、と…。
彼女には謹んでご冥福をお祈りするとして、
まぁショウビズの世界なんてどこもおんなじってことでしょうね。
要は、こういうチャンスに対する準備をしているかってことと、
プレッシャーに負けない強い精神力があるかってことなんだろうけど、
チャンスの時こそ実は自分の器が試されるんでしょうな。
そしてエンディングからエンドロールのあの曲への流れ。
「察してくださいな」と言わんばかりですな。

どうやら「スリラー作品」らしく、
随所にえぐい表現や観客を驚かすような演出が入っている。
ニナの感じた恐怖もこっちに伝わってくるし、
ナタリー・ポートマンの演技がやはりうまいんだろうな、
というのはうまずける。
ただ、人間の感情のブラックな部分を浮き彫りにした映画だけに、
全体的に暗い雰囲気で進行する。
もし好意であったとしても、ドラッグを勧めるのはあまり感心できないと思うし
(そうなると、やはりリリーには悪意があったと思わざるを得ないのだが…)、
トマスのやってることもセクハラまがい。
万人に勧められる映画ではないね。
ただ、クライマックスで観客を引き込むテクニックとか、
そういう部分はさすがと言わざるを得ない。

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