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映画 『世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶』(☆☆☆)

1994年の発見以来、限られた研究者のみ入ることが許されてきた
南仏のショーヴェ洞窟。
なぜならそこには、最古のもので約3万2千年前に描かれたとされる、
世界最古の洞窟壁画が残されていたからである。
以前見つかったラスコー洞窟は、
あまりにも観光化され、多くの人々が出入りしたせいで、
壁にカビが生えて閉鎖せざるを得なくなった悪しき前例を鑑みて、
入り口も普段は厳重に閉じられるなど、
本腰をいれて保存しようとしていることが伺える。
その貴重な洞窟に、このたび初めてカメラが入ることが許され、
それを映像化したのが今作である。
貴重な壁画はもちろんのこと、
3Dカメラで詳細に撮影された壁面の凹凸や、
美しい鍾乳石もまた目を引く。
また、洞窟内の足跡や動物の骨、
人為的に配置されたと思われるモノの痕跡などから得られた情報を元に、
当時の人間の生活や心象を想像するなど、
研究成果も披露されている。
考古学者だけでなく、地学者や芸術史家などが研究に参加する、
横断的な学術研究がなされているわけである。

と、内容の一部を書いてみたわけだが、
これらのことについて興味の持てない方には、
この作品は勧められない。
確かに鍾乳洞の美しさを見るだけでもそれなりに価値はあるが、
それだけなら観光化された鍾乳洞に行く方が、
はるかに意義深いだろう。
今作は、考えようによってはいくらお金があってもできない経験を
手軽にさせてもらえる、そんなオトクな映像である。
何のためにその絵が描かれたのか、
それを知る術は現代の我々には与えられていない。
しかし、3万2千年前の人類の中にも、
表現者なり記録者なりが存在し、
少なくとも彼らの中で通用するなにがしかのメッセージが、
今もこうして残っているというのは、
歴史に思いを馳せる全ての者にとって、
奇跡的なことなのである。

ドキュメンタリーなので盛り上がりに欠ける面はあるが、
興味深い映像群であることに間違いはない。
こういうものを懸命に、かつ徹底的に後世に遺そうとする、
研究者たちのスピリットにも触れてもらいたい。
壁画を簡単にカビさせちゃう日本の科学者には、
彼らのあり方はぜひ見習ってもらいたいものである。

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