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映画 『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(☆☆☆☆)

日本の政界にも「強いリーダー」が望まれる昨今。
しかし、半ば世襲貴族化した多くの2世議員に
それを望むことは難しいだろう。
一方で、「松下政経塾」出身の政治家も、
今ひとつパッとしない。
それは、政界がいわゆる「政治力学」で動いているからであり、
その仕組みを理解せずに「政策」だけを武器に
飛び込んでも(その武器も甚だ脆弱なのだが)、
その仕組みによって生み出された力にただ飲み込まれるだけである。
己の正義に対する自信もなく、
敵を作る覚悟もなく、
ただ妥協と打算のみを積み重ねても、
それで人を率い、導いて行くことなど、
出来はしないのだ。

サッチャー(メリル・ストリープ)の政策の全てが
正しかったわけではないだろう。
しかし、「鉄の女」と呼ばれた彼女には、
己の信念に対する自信と、
敵からの批判を甘んじて受け止める覚悟があった。
そして、たとえ顧みられることが少なくとも、
彼女を支え、励ました家族と、
そんな家族の存在を決して忘れまいとした
彼女の愛が、イギリスを今だ大国たらしめていると言えるかもしれない。
確かに認知症になっている現状に、
往時の気高さは感じられないかもしれない。
しかし、彼女にだけ見える夫デニス(ジム・ブロードベント)が、
あのように現れるというところに、
彼女にとってのデニスの存在の大きさをうまく演出している。

彼女もまた現代世界史の1ページを飾るに相応しい人物である。
政治家は日々評論にさらされると同時に、
歴史によっても裁かれるのである。
日本の政治家は、日々の論評に恐々とするあまり、
歴史の風雪に耐える何事も成せずにいるのではないだろうか。
我々民衆も良くないのだろうが、
そんな愚かな民衆を黙らせられる、
強靭な精神と信念を持った政治家が、
評論を恐れずもっと表に出て発言しなければ、
歴史の、いや現代世界のの荒波にすら
飲み込まれてしまうことだろう。

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