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映画 『オレンジと太陽』(☆☆☆☆)

タイトル(原題の日本語訳そのまま)と内容が
イマイチ結びつかない状態で観てみたわけだが、
構図としては「北朝鮮は地上の楽園」的なニュアンスで
使われていた言葉のようだ。
移民にもいろいろある。
この前行った月形町やオーストラリアは、
もともと流刑地で開拓のための労働力としても駆り出されていたのが、
定住するようになって発展して行った場所である。
また、「田分け」の愚を犯さないために、
アメリカやブラジルに移民して行った人々、
北海道や満州のように村ごとにまとまって移住するパターンもある。
流刑地はもちろんのこと、
他のパターンでも非人道的な行為があったかも知れない。
しかし、今作で扱われている「児童移民」ほど、
ひどいものもないのではないだろうか。
これは、孤児(と言っても、白人だけを選んでいたとされているから、
なにがしかの意図を感じるが)を
家族の了承もなく集団でオーストラリアなどに送り、
過酷な労働をさせた、というもの。
子供達も「親は死んでいる」と退路を絶たれ、
「君たちが行くのは、太陽が輝き、オレンジがたっぷり食べられる
素敵な場所」
だと教え込まれてオーストラリアに送られたのだ。
主人公のマーガレット(エミリー・ワトソン)は、
養子の人たちの話を聞くソーシャルワーカーとして働いていたのだが、
その繋がりでこの国家的暗部に深く携わることになるのだ。

内容が内容なので、もっとサスペンスっぽくもできたのだろうが、
あえて事実を丹念に追い、
人々との繋がりを重視したヒューマンな作品に仕上げている。
派手さこそないが、非常に良心的な作りだと思う。
彼女の戦いは近年実を結び、
オーストラリア、イギリスの両政府が正式に謝罪している。
とはいえ、作中ではこの行為を正当化し、
あまつさえ「人助け」とさえ言う者さえある。
絶対的正義や絶対善があるとは、ワシも信じないが、
分別のない子供を国家的に強制的に移住させるというところには、
さすがにワシも正義や善は無いと思うねぇ。
国家の恐ろしさを改めて思い知らされる佳作。

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