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映画 『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』(☆☆☆)

2011年にアカデミー賞4部門を獲得した
『英国王のスピーチ』の前段に当たる
「王冠をかけた恋」と呼ばれる
エドワード8世(ジェームズ・ダーシー)と
ウォリス・シンプソン(アンドレア・ライズブロー)の結婚の顛末を、
主にウォリスの側から描いた作品。
彼女は決して略奪したのではなく、
むしろエドワードの方が彼女に入れ込んだ結果、
というのが真相のようだが…。
なぜエドワードがウォリスに入れ込んだのか、
という話よりも、
むしろ王家を揺るがすスキャンダルになって以降、
ウォリスがそれに押しつぶされそうになって行く過程の方に
描写の多くが割かれている。
そもそも、現代パートの必然性があまりなくて、
結果的に全体の内容を薄めてしまった感が、
ワシの見る限りある。
この手の作り方の作品で成功した例を、
ワシはあんまり知らんのよねぇ。
現代パートの主人公ウォリー(アビー・コーニッシュ)は、
確かに境遇なんかはウォリスに似てなくもないが、
それほど強い関連性を感じないのよね。

今作を観て思い出したのは「エンゲージリング」の、
「エンゲージ」っていう言葉の元々の意味。
「束縛する」っていう意味なんだよね、これ。
彼女は、この結婚に必ずしも賛成ではなかった。
分不相応とか、人妻だったからとか、
もちろんそういう理由も出てくるが、
まず彼女はスキャンダルになること自体を恐れていた。
今の芸能界を見てもわかるように、
セレブと深い関係を持つということは、
それだけ衆目にさらされるということであり、
それは当然プライバシーの喪失を意味する。
自由を奪われるということであり、
つまり彼女は結婚する前から「エンゲージ」されていたのである。
作中彼女は、エドワードを「子供っぽい」と評している。
王位よりも愛が重いと考えた彼の行動には、
賛否両論あるだろう。
その選択は、彼自身はもちろんのこと、
ウォリスにも、弟ヨーク公(ジョージ6世)にも、
果てはエリザベス2世を通じて現代にも影を落としている。
ウォリスには離婚歴がある。
その結婚が決して幸せなものではなかったことが冒頭語られ、
その中で彼女は妊娠が極めて困難な体になったことも語られている。
そのことも、彼女がこの結婚に乗り気でなかった一因かもしれない。
それでも彼女はエドワードの死を看取るのだ。
彼女のその深く強い愛は、
単体で充分映画化できた素材だと思うんだけどなぁ。

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