映画 『情熱のピアニズム』(☆☆☆☆)
生まれつき骨形成不全症という障害を抱えながら、
楽器屋の息子という環境ゆえか
ジャズピアニストとしての才能を開花させた
ミシェル・ペトルチアーニのドキュメンタリー。
障害ゆえに短命であることを宿命付けられた彼は、
だからと言って漫然と生きるのではなく、
まさに「生き急ぐ」という言葉がふさわしい、
苛烈なまでに情熱的な生を駆け抜けて行った。
骨の脆さを感じさせず、
いや演奏中に身体中の骨を折りながらも、
見事ステージを勤め上げる。
4歳の頃、本物のピアノが欲しくて、
母親が買ってきたおもちゃのピアノを叩き壊す。
一人ではまともに生活できないためなのか、
孤独を恐れ、身近にいてくれる女性に片っ端から乗り換える
(障害のせいで身長1メートルそこそこなのに、
またよくおモテになるし)。
果てはドラッグにまで手を出す。
それでも、ジャズピアニストとしてのテクニックは引く手数多。
死ぬ前年(と言っても死んだのが1月6日なので実質死んだ年)にも
年220ステージをこなしたという事実からも、
その素晴らしさをうかがい知ることができるだろう。
自ら「コンプレックスの塊」と語り、
同じ病気が遺伝した息子も
「『奇異な人』ではなく『特別な人』になろう」と語っている。
ワシも、歴史上の英雄の多くが少なからぬコンプレックスを
抱えていた事実を知るにつけ、
何でも認め合う現代においては
『英雄』とか『カリスマ』といった存在がなかなか生まれにくい
状況にあると言えるだろう。
まぁ、フツーに漫然と生きてきたワシなんかは、
そういった『特別な人々』の生涯に触れることしかできないわけだが…。
また、ミシェルの父親というのもかなりのスパルタぶり。
おもちゃのピアノを壊してまで手に入れた本物のピアノを、
単なるシュミで終わらせないために、
学校にも通わせずに半日弾き続けさせたんだから。
ただ、彼の身体ではペダルに足が届かない。
そのために補助用のペダルを作ってもあげるのだ。
やっぱり、教育はまず親ありきってことだよなぁ。
塾に勉強を、学校にしつけを丸投げしてる日本の親御さんでは、
到底太刀打ちできないかなぁ。
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