映画 『王になった男』(☆☆☆☆)
黒澤明の『影武者』から、
最近でも『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』など、
古今東西で題材にされる影武者。
今作は、韓国の歴史書にある
「自分の身代わりとなるものを探せ」という一文を
をもとにつくられた創作である。
観てる時はうかつにも目頭が熱くなるものがあったが、
よく考えたら創作らしく
古今の名君エピソードをぶっこみまくっただけとも思える。
しかし、今作は影武者の王が巻き起こす暴走
(中には微笑ましいものもあって、そこがなかなか良いんだけど)を、
近臣や王妃がしっかり受け止め、
「むしろ影武者こそが新の名君なのでは」と思い、
懸命に使えて行く様にこそ見所がある。
毒のせいで生死をさまよう王(イ・ビョンホン)の代わりに
影武者(イ・ビョンホン、二役)を仮の王として
朝廷の混乱を鎮めようとしたホ・ギュン(リュ・スンリョン)は、
朝廷内の力学的関係を無視して暴走する影武者に眉をひそめながらも、
彼の敷く善政を心の中では認め、
王によって殺されようとする影武者の命を救おうと奔走する。
世話役のチョ内官(チャン・グァン)は、
影武者の正体を知りながらも彼を王として扱い、
彼が善政を敷く手助けをする。
護衛官のト部将(キム・イングォン)は、
影武者の正体を知り彼を殺そうとまでするが、大逆罪に問われてしまう。
ところが影武者に命を救われ、
彼もまた正体を知りながら絶対の忠誠を誓うようになる。
王妃(ハン・ヒョジュ)は王に相手してもらえなかったが、
影武者は彼女のために、謀反の罪に問われている彼女の兄を助け、
かつまた影武者の優しさに触れ、彼に心を寄せるようになる。
こうやって、脇役ががっちり固めてる映画って、やっぱ良いよねぇ。
あと、きちんとカネかけてるところにかけてるって感じがするのが、
韓国映画の素敵なところ。
低予算で工夫して撮ってる映画も良いが
(日本映画は、低予算の上に工夫してないけどね…)、
こうやってきちんとカネかけて作ってる映画も、
それに必然性があれば全然OK。
過去の影武者モノに劣らない佳作に仕上がってると思う。
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