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映画 『プラチナデータ』(☆☆☆☆)

東野圭吾は、犯人の作り方がうまいよねぇ
(と語れるほど東野作品に触れてるわけではないのだが)。
あの犯人が、あそこまで考えていたとはねぇ
(途中の描写を見て感じた物語の筋と
違う流れだったっていうのもあるけど)。
でも管理社会の行き着く先って、
大筋ではこのシナリオ通りだとは思うね。
だからこそ、じょういう個人情報の管理は、
無条件に国家に委ねるわけには行かないんだろうけど。
そういう意味では、単にミステリー作品としてはもちろん、
SF作品としてもいい出来の原作といえるだろう
(当初から映画化を前提にした小説らしいし)。

DNAは、人格を構成する要素ではあっても、
確定する要素ではないということも示していると思うし、
また何故伝統工芸の技術継承がうまく行かないのか、
という話も多少は含まれているように思われる
(そのテの話は『荘子』にも出てくるぐらい古くて新しい問題なんだが)。
人格や芸術的才能、技術のアナログな部分
(微妙な力加減とか捜査手法とか)っていうのは、
与えられた環境の中で後天的に身につけていくものであって、
DNAには書き込まれていないと思うんだ
(だからこそ、名馬同士を掛け合わせたからといって、
必ずしも名馬が生まれるとは限らないわけで…)。
そういう考えさせる作品に仕上がっていて、
基本的には好印象なわけであるが…。

ただ、映画だけではどうしてもモヤモヤした部分が残っているのも事実。
例えば、神楽(二宮和也)の生みの母はどうしたのか。
いつ死んだのか、それとも別れたのか。
神楽の父親(萩原聖人)が死んだ本当の理由
(ワシ的には、この部分をもっと掘り下げて欲しかったんだが…)。
デジタルVSアナログで敗北感を味わった、
という辺りが妥当な落とし所なんだろうが、
だとすると、神楽が二重人格化した決定的要因だと、
観ていて思えたんだが、その辺りは映画の中ではスルーなんだよね
(小説では描かれてるんだろうか)。
『クラウドアトラス』でも書いたし、
映画のレビューではたびたび、
映画という媒体の時間的限界の話を書いたが、
製作者側の取捨選択が作品の成否を決める一要素であることは、
事実だと思うんだ。
そういうのを、他のメディア(小説、TV版、マンガなど)と比較しながら
見られる余裕がもっとあれば、
また違う楽しみ方もできるんだろうけど、
それはそれで興を削がれる一面があるので、良し悪しなんだよねぇ。

基本的には良い作品。
東野圭吾ファンでなくてもオススメできる作品だと思う
(もしかすると、ファンでない人の方にオススメするべきか)。

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