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映画 『最初の人間』(☆☆☆)

ノーベル文学賞作家アルベール・カミュの自伝的遺作の映画化。
執筆中に交通事故死してしまったため未完である。
それゆえか、特にこれといった山場も無く、
アルジェリア戦争期の1957年と、
カミュが幼き日々を過ごした1920年代の話が適宜流される。
生まれ育ったアルジェリアを故郷(恩師も家族もいるから)
と考える彼は、
アルジェリアの独立に対しあいまいな態度を取り、
フランスの掲げる「自由」と「平等」という理念をかたくなに信じ、
フランス人とアルジェリア人の融和を模索していたらしい。
そのため、
回りの制止も聞かずアルジェリア人居住地に単身乗り込んだり、
アルジェリア人の幼馴染の世話をしてやったりしている。
その辺りの対立の話の一端は、
『いのちの戦場 -アルジェリア1959-』に詳しいが、
その映画の話自体フランスはもみ消そうとしていたぐらいだし、
発表当時はフランスとアルジェリアの対立を知る
貴重な資料の一つだったと言えるのかもしれない。

とはいえ、未完の作品であるためどうにも半端な感じが否めない。
もっとも、無理に完成させようとしても、
むしろ作品を歪曲してしまうことにしかならないだろうしねぇ…。

でも、カミュの恩師みたいな存在に出会えるということは、
やはり人生にとって大きな財産であり、
そういう意味ではカミュの人生は恵まれていたんだなぁ、
と思うわけで…。
カミュ自身も認めているように、恩師との出会いなしには
ノーベル文学賞を獲るような大作家には
なっていなかったことであろう。
何せ、カミュの親族は満足に文字も読めないのだから…。

作品としての完成度を期待するのは、
そもそも未完である以上間違っている。
単純に、アルベール・カミュを知るための映画と割り切るべき。

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