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映画 『リンカーン』(☆☆☆☆)

歴史にその名を刻むとともに、
それと同等以上の虚飾にも彩られた
リンカーン大統領の、
有名な「ゲティスバーグの演説」以降の話。
優位に戦局を進めながらも、
その代償多くの命を戦場に散らす中、
リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)は、
奴隷解放を目指すべく憲法修正案を議会で通そうと、
あらゆる手を尽くしていた。
しかも、家族問題も抱えていたリンカーンは、
日々神経をすり減らしていたわけだが…。

政治の本質なんてものは、実際たいして変わらないわけですよ。
行き着くところは議会での多数派工作である。
言論や情に訴えるのはもちろんのこと、
エサ(ゲンナマや官職のあっせん)で釣ってまで通したい法案の
一つや二つ、並の政治家なら誰でも持っているはず。
問題はその法案が、より多くの人民を幸せにするか否かであり、
本来それらを判断するのは我々人民なのである。
歴史が物語るように、この憲法修正案は可決されるわけで、
今作のクライマックスでは多くの民衆がそれを喜んでいる。
しかし、白人の喜びと、黒人の喜びは、
おそらく意味合いが異なったものであろう。
昨年上映された『ヘルプ』でも語られているように、
南部では第二次世界大戦以降も奴隷制は残っていたわけで、
おそらく白人にとって修正案の可決は、
長い内戦(南北戦争と呼ばれるもの)の終結を、
ひいては戦地に赴いた家族の無事な帰還
(それに関してはリンカーン一家も同様であろう)
を意味していたからであろう。
ただ、その辺りの描写が無いのは、ひとつ残念なところ。

憲法修正案を通した張本人は、
むしろスティーブンス議員(サミュエル・L・ジャクソン)であろう。
彼にしたところで、
自分の愛欲のためにこの法案を起草したフシもあるし、
やはり「欲望が世界を転がして行く」のだと思うのだが、
ワシはそれが悪いことだとは思わない。
もう一つ残念なのは、決して奴隷制自体に反対ではないリンカーンが、
なぜこの修正案を通すことに躍起になっていたのか、
キチンと言及されていないことであろう
(彼の家にも黒人労働者
(奴隷と呼ぶべきかどうかわからないのでこう書くが)がいる)。
そういう意味では、やや焦点がボケている作品にも見えるが、
人間の強さと弱さを垣間見ることができる作品、
という意味では良作と言っていいのではないだろうか。

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