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映画 『最愛の大地』(☆☆☆)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使をつとめる
アンジェリーナ・ジョリーがメガホンをとった作品。
彼女がボスニア・ヘルツェゴビナの難民キャンプで、
実際に被害者から聞いた話が元になっており、
彼女のこの活動への意気込みと思いの強さをうかがわせる、
強烈な作品に仕上がっている。
日本でも国連絡みの仕事をしている人は少なくないが、
本人たちが謙虚過ぎるのか、
それとも単にマスコミが興味を持たないのか
(裏を返せば我々が興味を持っていないということ)、
おおっぴらにそういう活動が語られていないのが現状である。
いや、もしかすると、それは世界的な傾向であり、
そうであるがゆえに彼女がこのような行動を起こしたのでは、
と考えられなくもないのだが…。

内容としては、1990年代前半の
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の内幕を
一人のムスリム人女性の目から描いたものである。
しっかし、20世紀も終わろうとしてる時に、
まだヒトラーの真似事をする人間がいるとはねぇ。
キリスト教とイスラム教のこの関係は、
いつまで続くんだろうかねぇ
(正直、宗教に疎いワシなんかからすれば、
どっちもどっちって感じに見えなくもないんだが…)。
ボスニア・ヘルツェゴビナを含むユーゴスラビアは、
もともと複雑な地域ではあったんだけど、
御多分に洩れず冷戦集結とともに重しが取れて、
各民族がめいめい勝手なことを言い出したことが、
そもそもの発端なんだろうけど、
民族絡みでこんだけ長々と争ってると、
「民族浄化」とかそういうバカなこと考えるヤツの一人や二人、
出ても不思議じゃないのかもしれないけどなぁ…。
で、まぁそんなバカなこと考えた将軍の息子と、
主人公が惹かれあうところから話が始まり、
その二人が話の中心になって行くわけだが…。

この二人の関係はかなり複雑。
個人と個人、という意味ではちゃんと恋愛できているわけだが、
お互い民族を背負っているため、
二人で逃げて…、とかという展開にもならず、
なんとも切ない週末を迎える。
抑制が利いてると言えば聞こえはいいが、
どうしてもグッとくるものがないのである。
序盤がむごたらしい展開なせいもあるが、
後半がどうにもけだるい。
悪く言えば、アンジーの思いが空回りしてしまってる、となるか。

もっと早く多国籍軍が介入していれば…、
という考えも無くはないが、
やはりそこは同じキリスト教徒。
いかに人道の見地とはいえ、
イスラムを助けることにためらいがあったということかも知れない。
根深い問題であるがゆえに、
こればっかりは国連みたいな穏健な機関では
どうしようもできないだろうねぇ。
まぁ、大々的に活動してるよ、ってことを評価すべき映画かな。
日本のそういう人たちにも、少しは見習って欲しいものである。

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