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映画 『選挙2』(☆☆☆)

前作では、郵政選挙の余波に乗っかって、
市会議員の補欠選挙とはいえ自民党から立候補して当選した山内和彦氏。
しかし本選では公認はもらえず、不出馬で主夫となった。
それから4年。
東日本大震災が起こり、福島第一原発で大事故が発生。
義憤に駆られた山内氏が、
今度は「独立系完全無所属」と称して再び立候補。
その顛末を、想田和弘監督が再び追う。

今作鑑賞後、産経新聞WEB版の号外で、
「堺市市長選 維新敗北」の報に触れました。
日本の政党は、政策集団ではなく、しょせん選挙互助会ですからねぇ。
だからこそ、ずぶのシロートだった山内氏でも、
選挙互助会の力を借りて当選できちゃったりするわけだけど、
1年半しか議員さんやってなかった上に、
選挙戦に関しては4年以上のブランクがある。
ましてや、地盤も、カバンも、カンバンも無い山内氏。
それを逆手に取り、「カネのかからない選挙」を標榜して
選挙戦に挑むわけだが、
案の定無手勝流ではまともに戦えず、
結果を言えば14人中13位で当然の落選。
もっとも、供託金が帰ってくるぐらいの票は取れていたし、
なんと言ってもビリじゃない(逆にビリの人って…)。
カネもかかってないのでそんなに痛くないし、
また映画にしてもらえたんだから、いい思い出になることだろう。

しかし、今作の本質は当然そこではない。
彼の活動を通じて、選挙互助会である政党選挙と、
それを支える公職選挙法の問題点。
さらには、もはや目立つというよりは
完全に世間から浮いてしまっている候補者と、
それを冷ややかな目で見つめる市民。
これら、日本民主主義の実態をえぐり出すことにこそ、今作の意義がある。
公職選挙法によって、
自らの政策を発表することもままならず、
均質化された候補者が朝な夕なのあいさつ合戦で雌雄を決するという、
へたすりゃ単なる近所迷惑によって、
我々は選良をしなければならないという矛盾。
そして、その矛盾に対し拒否反応を示し、
選挙に行くこと自体を放棄する我ら有権者。
形骸化した民主主義の実相が、
今作によって改めて浮き彫りにされるわけである。

ただ、当の山内氏自身あまり時流が読めてないし、
怒りにまかせて選挙に立候補する愚を表現しているとも言える。
公職選挙法も、本来は「カネのかからない選挙」にするための
法律だったはずなのだが、
いつの間にか政党を擁護し、
マンパワーが正義みたいな性質の法律になってしまっているし
(その辺で山内氏も苦しんでるわけだが)、
それを改める力があるのがほかならぬ議員さんだったりするという
矛盾も抱えているわけで
(個人としてそれに取り組もうとしている議員さんもいるにはいるが)、
日本の政治システムが曲がり角に来ていることは明らか。
まずは、無自覚な我々の意識改革が必要だと思うのだが…。

ちなみに、今作は余計なカットがちょっと多過ぎ。
もう少し短くできたような気はするんだが…。
そこが減点要素。

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