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映画 『日本の悲劇』(☆☆☆☆)

まず、非常に挑戦的というか、実験的な映画。
固定カメラによる映像の編集。
見えない部分を凝った音響によって補完。
舞台装置としてのカラー映像
(今作は基本的にモノクロ映像によって構成されている)。
舞台人である仲代達矢が主役であることもあって、
舞台演劇的な構成であるとも言えるが、
やってることは案外映画(映像作品)ならではの手法。
まず、そういう意味で興味深い映画である。

内容はというと、
末期の肺がんで余命いくばくもなく、
治療を諦めた父(仲代達矢)と、
鬱病を患って妻(寺島しのぶ)と別れ、
実家に戻って父の年金を頼って暮らす息子(北村一輝)の
二人によって話は進む。
緩慢な自殺を望んで自室に引きこもる父
(しかも内側から釘を打って密室状態にしてる)に対して、
母(大森暁美)を病気で失い、
別れた妻子もあの地震で失った
(妻の実家が気仙沼ということになっている)息子は、
鬱病だったこともあってか
一人にされることを恐れている。
不景気で新しい仕事も決まらず、
生きる意味さえ失う息子。
一方、外界と断絶した父は、
思い出の中で自らの人生を振り返るが…。

もうねぇ、モノクロの映像が、
スクリーンの中で繰り広げられる陰鬱な現実を
如実に示してるわけね。
父の思い出も、息子が妻のところから
突然飛び出したところからモノクロだし、
そこから息子夫婦の離婚、
突然息子が実家に帰ってきて、
鬱病を告白したと思ったら母親が倒れる。
母親が死ぬと、今度は父の体に異変が起こり、
あの地震、そして入院と、
思い出すだに陰鬱な気持ちになる話の連続。
まるで、日本の病巣を一つの家に押し込めたような様相である。
観ていると、どんどん切ない、
身につまされる気持ちにさせられるのは、
誰にも一つや二つ思い当たる話だからであろう。
日本は、間違いなく病んでいる
(まぁ、作中のセリフじゃないけど、
「こんな時代にまともでいられる奴の方がどうかしてる」
のかも知れないが)。
そして、本当の問題は、その病巣に対して、
誰もまともな処方箋を書けないことであろう。
そう考えると、ますます陰鬱な気持ちになるわけだが…。

実験的で今日的な映画。一見の価値ありである。

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