映画 『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』(☆☆☆☆)
やせた土地にはやせた土地に適応した植物が、
豊饒な土地にはまたそれに適応した植物が茂るわけだが、
「バーグドルフグッドマン」は、
ニューヨークのような豊饒な土地にしか育つことはできないが、
その分絢爛豪華なる花と実をつけるということだろう。
こういう文化は、安売り(それまでの売り方が異常だっただけなのだが)
の呉服店と、
私鉄経営のオマケという、
やせた土地の日本文化には決して根付くことが無い、ということは、
昨今の百貨店の苦境を見れば明らかなことであろう。
正直、グルメ系イベントとスーパーマーケットの真似事みたいなこと
ばかりをしているようでは、
「バーグドルフグッドマン」のような、
ドラマのあるデパートなんて夢のまた夢だろう。
ワシは、格差社会自体には反対ではない。
階級流動性さえある程度確保されれば
(アメリカにおける「アメリカンドリーム」のようなものがあれば)、
金持ちがいて、庶民がいる、
そんな世の中の方がむしろ自然だとさえ思う。
そして、金持ちが支える文化があって、
一方で庶民が支える文化がある、
そんな多様性が豊かな文化を生み、
また豊かな国を生むのだと思うのである。
日本は、「一億総中流」を達成してしまい、
階級も文化も平準化してしまったために、
良くも悪くも日本中が小東京化してしまった。
おかげで、バブルがはじけて一蓮托生で総下流化してしまい、
カネ回りまで悪くなってしまった。
そこから、地震&地震で今だ自力再生などままならない状況が続いている。
「魔法のデパート」という名に恥じない、
常にドラマのある、本物のデパート。
その裏側を垣間見る、というにはやや退屈な面も無くは無いが、
裏側なんてものはそういう地味な作業の積み重ね、
ということだろう。
あの、夢のようなショウウインドウは、
是非一度実物を拝んでみたいものである。
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