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映画 『もったいない!』(☆☆☆☆)

先月あたりから、
日本では食のニュースがいろいろと出てきている。
「日本食」が無形文化遺産認定されるのでは、という話。
一方で、ホテルや百貨店に広がる食品偽装の問題。
そして、今作と密接な関係を持つ話として、
食品業界で広がる賞味期限見直しの動き。
これらを通して見ると、
いかに我々消費者が、
目や耳から入った情報によって食味を決定しているか、
つまり「脳みそで味わっているか」ということである。

今作では、賞味期限切れ食品の投棄だけでなく、
規格外食品(曲がったキュウリや傷物の果物、大き過ぎや小さ過ぎの野菜)
の投棄問題などにも言及し、
それを引き起こす原因となる
農政や商習慣、さらには我々消費者のありようについて問いかけている。

作品としての掴みに、
ウィーンにいる「ゴミ箱ダイバー」なる存在の
エピソードが登場する。
日本のホームレスなんかにも似たようなことをする者がいるが、
要するにゴミ箱内の食材を漁って生活しているのだ。
ただ、日本の事例なども出てくるように、
そういった投棄食物で食いつなげてしまうという現実は、
裏を返せばそれだけの食物を無駄にしているということ。
もっと言えば、その食物を作るための労力や資源まで
無駄にしているということでもあるのだ
(作中の言葉からの受け売りだが…)。
後半では、日本の事例として
投棄食料を家畜飼料として再利用している実例を報告している。
EUでは、規制によってこのような利用法ができなくなっているそうで、
ある意味では日本以上に食料の行き場がない、
という実情が明らかとなっている。
大量消費と、生産と消費の現場の乖離。
これらが生み出す様々な無理解が、
大量の食料投棄の原因と言えそうだ。

しかし、結果として「食品を無駄に使わないようにしよう」
という結論になるのはまだいいとして、
「もっとつつましく生きて行った方がいいのでは」
という結論にはやはり疑義を呈するわけである。
確かに、市場の拡大局面は終わりを迎えつつあると言えるだろう。
しかし、それに合わせて消費の抑制や
合理化、効率化、生産性の向上を目指すと、
それは実は職場の縮小をうみだすという事実である。
生産性の向上以上に市場が拡大していた20世紀ならともかく、
それこそそれが望みにくい世の中になりつつある現状である。
現状にしがみつくよりも、
日本で言えば「6次産業化」のような、
新しい価値の創造みたいなことの方が、
よほど建設的なような気が、
ワシなんかはするんだが…。

日本の農政には色々と問題があるとは思っていたが、
何のことはないどこの国も似たようなもんだった、ということ。
そういう現実を横並びに比較できるという意味では、
価値のある作品だと思う。

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