« 映画 『ワン チャンス』(☆☆☆☆) | トップページ | 映画 『アイ・ウェイウェイは謝らない』(☆☆☆☆) »

映画 『ウォルト・ディズニーの約束』(☆☆☆)

原作である『メアリー・ポピンズ』も、
映画の『メリー・ポピンズ』も観てないが、
今作で語られる原作者P.L.トラヴァース(エマ・トンプソン)の
幼少時の回想シーンを見る限り、
ディズニーのあの軽い、いやあえておちゃらけたと言うべきか、
そういうノリが差し挟まる余地がないように思われた。
ということは、原作の段階で相当頑張ってあの幼少期を
娯楽作品に仕上げたということであり、
そこに深く立ち入ろうとしなかったウォルト・ディズニー
(トム・ハンクス)には、正直怒りを覚えた
(確かに、トラヴァースも相当偏屈ではあるが…)。
いくら訂正しても彼女のことを「パメラ」とか「パム」とか呼ぶし、
自分だって家族であるミッキーマウスを売るか売らないか、
みたいな経験をしたはずなのに、彼女の苦境すら理解しようとしない。
その上、ミュージカルだ、アニメだと、
彼女の嫌がるおちゃらけた世界観を押し付けようとさえする。
ワシなら、席を蹴立ててしまうかも…。

そして今作である。
悪意的に言えば、彼女の作品でディズニーは
再び金もうけしようとしているようにも映る。
しかし、そればかりではあるまい。
おそらくは彼女に対する贖罪であり、
『メアリー・ポピンズ』の真意を伝えるための映画であると考えたい。
そうでなければ、一度ならず二度までも彼女を裏切ったことになるし、
世界最高を誇るディズニーのサービスが単なる欺瞞になってしまうからである。

そうは言っても、これに似た状況(いわゆる「原作レイプ」)は
現在に至るまでいくつも散見される(例えば実写版『ガッチャマン』)。
確かに、現状オリジナルの脚本では勝負しにくい
状況にあることは確かである。
しかし、現状のようなアレンジとは到底呼べないような代物を
いけしゃあしゃあと発表している状況は、やはり正しいとは言えないだろう。
ましてや、今作で扱っているのは、
あの世界一版権にうるさいディズニーである。
自分のところの版権を犯されると徹底的に潰しにかかるくせに、
他人の版権はどうでもいいんですか、と…
(『メリー・ポピンズ』の一件で学んだと考えられなくもないが…)。

正直、ウォルト・ディズニーがトラヴァース夫人との約束を、
誠実に履行したとは、今作を見る限り到底言えない。
それでも、彼女はそれを作品として世に出すことを認めた経緯が、
本当は一番大事なはずなのだが、
結局いまひとつピンと来なかったんだよねぇ…。
ワシが鈍いだけなのかねぇ…。

« 映画 『ワン チャンス』(☆☆☆☆) | トップページ | 映画 『アイ・ウェイウェイは謝らない』(☆☆☆☆) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画 『ウォルト・ディズニーの約束』(☆☆☆):

« 映画 『ワン チャンス』(☆☆☆☆) | トップページ | 映画 『アイ・ウェイウェイは謝らない』(☆☆☆☆) »

2020年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ