映画 『アイ・ウェイウェイは謝らない』(☆☆☆☆)
いろんな意味で中国を代表する現代美術家である
アイ・ウェイウェイの、
"鳥の巣"(北京オリンピックメインスタジアム)以降を
描いたドキュメンタリー作品。
それ以前から反体制的な作品をいくつも作っていたが、
彼が目の敵にする国家自体が、
華々しく彼を世界デビューさせてしまったため、
結果的に自分で起こした炎を
自分で消す羽目になってしまった
(しかも、結局消し切れてないっていうね…)。
四川大地震以降、彼の反体制の牙はいよいよ冴えわたり、
中国当局からブログを削除され、監視対象となってしまう。
ならばと彼は、Twitterに表現の場を移し、
当局との闘争をありのまま表現し続けた。
ついに当局は、彼を逮捕。
脱税容疑で罰金と追徴金、
さらには自宅軟禁を余儀無くされ、
表現の自由も著しく侵されている。
しかし、一度広がった波紋は、もはやかき消すことはできない。
当局の仕打ちに対し、世界中から非難の声が上がり、
彼に対する寄付が山のように集まったのだ。
世界一死刑の多いこの国が、
彼を死刑にしなかったのは、
非難の声を無視できなかった以上に、
彼を殺してしまったら彼が永久に反体制のアイコンに
なってしまう可能性があったからだろう。
作中でも同国初のノーベル賞受賞者である
劉暁波氏(平和賞)の話が出てくるが、
この国の不都合な真実をあぶり出した作品となっている。
ドキュメンタリーとしてはやや出来過ぎな感もあるが、
ドラマチックであるということは、
この国が以下に現実離れした国であるかを示す、
一つの証左とも言えるのではないだろうか。
ただ、我らが日本も、
そんな見習わなくてもいい部分を真似しようとしているのだから
始末に負えないのだが…。
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