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映画 『あなたを抱きしめる日まで』(☆☆☆☆)

戦後間もない頃の人身売買の話としては
『オレンジと太陽』のように
国家間で行われたものを扱ったものもあるが
(そういえばアレではイギリスとオーストラリアの話だった)、
今作ではアイルランドの一修道院が
カネ目当てで修道女が生んだ子供をアメリカの金持ちに売っていた
(と解釈するべきかは問題が残るが)という話がベース。
ただ、『オレンジと太陽』と違うのは、
養子になった子供がかなりいい感じに成長し、
そして死んでいったという点だろう。
不幸な人生を送って行ったならば、
フィロミナ(ジュディ・デンチ)は
あの修道院のことをもっと憎みもしたんだろうが、
生き別れた彼はアメリカ政府の高官にまで上り詰めているし、
ラストなどで流れる実際の映像(と思われる)を見る限り、
いろいろなところに旅行などに行ってもいる。
一緒に養子に行った女の子は
「養母はともかく養父は…」みたいなことを言っていたが、
それでも(幼いうちに養子に出たせいもあるが)
修道院時代の話が出てこなかったところをみると、
まんざらでもない生活だったのだろう。

ただ、人道的に許される話かと言われれば、
それはまた別の話で、
実際いまだに探している親子がいるそうだし、
意図的に記録を焼却したと思しき話も出てくる。
ワシ自身、どっちかというとマーティン(スティーヴ・クーガン)と同じく
神とか宗教とかには懐疑的な人間だから、
この修道院のやったことが、
たとえ彼を結果的に幸せにしたとは言っても、
許せない部分の方が多いわけで、
その辺りはフィロミナも
「黙っているのは、人々を欺くのと同じこと」
と言っているように
(作中では自分に向けて言っている言葉だが)
修道院側に疚しい部分があったことは間違いない。
まして、それを
「彼女たち(養子に出されるような子供を生んだ修道女たち)は
罪を犯したのだから罰を受けるのは当然」
と正当化するのもどうかと思うし…。
親の都合とはいえ、幼い頃から修道院に預けられ、
純粋かつ敬虔なカトリックとして育ったフィロミナの思いを、
ある意味では踏みにじるような修道院の言葉には、
やはり憤りを感じずにはいられない。
ただ、『オレンジと太陽』と違って、絶対悪と言いきれない部分があって、
修道院側にも理が無いわけではないからねぇ…。

そういう意味では、世の中の複雑な部分をうまく描き出している 良作と言えるだろう。

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