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映画 『ワン チャンス』(☆☆☆☆)

オーディションからスターダムに上がった
オペラ歌手ポール・ポッツ(ジェームス・コーデン)と
その妻ジュルズ(アレクサンドラ・ローチ)のオペラな顛末。
二人の馴れ初めこそ今風ではあるが、
ジュルズが古風に言えば糟糠の妻で、
苦楽をともにする健気さが印象深い。
オーディション以外は運のないポールではあるが、
彼女に出会い、添い遂げたのだから、
そういう意味では相当な運の持ち主とも言えるだろう。

また、ポールの住む町のコミュニティ全体が持つ雰囲気も、
なかなかにドラマチックである。
夢半ばで挫折した父と
息子の才能を信じている母。
20年以上ポールをいじめ続ける悪友
(てゆーか、よくも飽きずにやってると思うよ)。
ポールが勤める携帯電話販売店のボス。
彼がポールに何かとよくしてくれているから、
ポールは夢を追い続けられたのかもしれない。

そして、ポール本人である。
ヴェニスで本格的にオペラの勉強をして、相当優秀だったはずなのに、
最後の最後で緊張のため力を発揮できず、
パバロッティに酷評され、ポールは打ちのめされてしまう。
確かに、憧れの存在だったパバロッティの前とはいえ
緊張を飼い慣らすことができなかったポールは、
プロになりうる存在として問題があるかもしれない。
しかし、次代を育てようというパバロッティならば、
もう少し声の掛け方に気遣いがあっても良かったのではないだろうか
(ホントは、そういう余裕のない人間だったんだろうかねぇ)。
そこから、数々の不運(と呼べないものもあるが)
を乗り越えて、テレビ番組で堂々と歌い切れるところまで、
よくも成長したものである。

それにしても、今日に至るまで、
よくこれだけの裏話が消費され尽くさずに残っていたものである
(欧米じゃあ消費されていたかもしれないが…)。
日本じゃあ、下手すりゃオーディション段階で
これらの話が掘り起こされ尽くして、
いざデビューしたら数曲でそこらの量産型歌手と同じ扱いであろう
(ポール・ポッツの場合、独自性があったために生き残ることもできたんだろうが)。
最近で言えば、「Rー1ぐらんぷり」
優勝者決定に至るまでにそれに近い話があった
(お笑い芸の巧拙ではなく、バイトかけもちの努力云々が持ち出される)。
佐村河内氏の話もそうだったが、
本業そっちのけで裏話で売れる売れないが峻別されるのは本末転倒な話で
(それを利用しようとしたのは他ならぬ佐村河内氏自身なのだが)、
日本のマスコミの下世話ぶりをよく示す話と言えるだろう。
話の作り自体はベタなので、☆はやや辛めに付けているが、
ポール・ポッツの純粋な人柄と、
彼を支える人々の温かさには観るべきものがあると思う。

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