映画 『蠢動-しゅんどう-』(☆☆☆)
珍しく、腰を据えて時代劇っちゅうもんを観たわけだが…。
歴史もの同様のツッコミを入れようと思えば、
いくらでも入れられるのだろうが、
それは問うだけ野暮というもの。
活劇と割り切って、面白ければそれでよし、
と言った心持ちで観ておりました。
ストーリーは、藩財政を守るために
親子二代してトカゲの尻尾にされそうになったのを、
不憫に思った者たちがいる一方で、
息子の一本気(直情的とも言えるが)な性格を
むしろ良く思わない者たちもいて、
その衝突が悲劇を迎える…、といった感じ。
ココで、藩のお偉いさんが身銭切るとか、
もっと理知的な解決法とか考えれば良いのに…、
と歴史ものなら突っ込むところであろうが、
それでは悲劇が生まれないわけである。
この理不尽さこそが、むしろ悲劇を悲劇たらしめている、
と言ってもいいぐらいである。
そうなると、活劇としてどう評価するかであるが、これが正直難しい。
クライマックスの大立ち回りを、
難しい環境(雪中という非常に足元の悪い中)で
見事やり切ったと肯定的に評価できる一方、
途中でバテバテでグダグダになり、
「いや、そりゃ予想できたことだろう」
と否定的に評価することもできるからである。
そうでなくても、時代劇というコンテンツが壊滅的な状況で、
まともな殺陣ができる俳優などたかが知れている現状である。
その中で、あえて足元の悪い雪中での殺陣を行うというのは、
少々無茶が過ぎるとワシは思うのだ。
また、ラストも予想通りと言えば予想通りだが、
少々尻切れトンボな感も無くはない。
もう少し後日談を掘り下げても良かったように思われるが、 どうだろうか。
今や、若者は白々しいドラマというコンテンツそのものに対して、
やや距離を取っているように、ワシには思える。
だからこそ、「フィクションが力を失った」 とワシは考えるのだが、
このクラスの時代劇なら、
地上波でもたまに(2ヶ月に1回か3ヶ月に2回ぐらい)
やってもいいのではないかと思われる。
時代劇をやりたい俳優自体は、そう少なくはないと思われるし、
あとはスポンサーと視聴率の問題になるだろうが、
ある程度ターゲットを絞り込めば、
解決できない問題ではないと思われるのだが、どうだろうか。
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