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映画 『陸軍登戸研究所』(☆☆☆)

「風船爆弾」を含む、いくつかの秘密兵器(笑)を作り、
そのために貴重な国家予算を湯水のように使っていた
旧陸軍登戸研究所の顛末を、
関係者のインタビュー中心に描くドキュメンタリー。
秘密兵器(笑)という理由は、
いちおうの戦果を挙げた「風船爆弾」のことよりも、
戦後の特撮映画にたびたび登場した「殺獣メーサー砲」や、
少年誌の付録についていた「スパイセット」などの着想が、
軍事機密と言われていた登戸研究所から漏れ伝わっていたとしか思えないから。

しかるに、全体の展開が、とにかくユルい。
もちろん、証言者の年齢を考えれば致し方ないと思うところもあるが、
ガリガリの成果主義とは対極にある
(今の理研などは、まさにガリガリの成果主義のようだが…)、
自由な気風のせいでもあるように思われる。
悪い言い方をすれば、こんなところに国家の命運を賭けていたわけであり、
そりゃ戦争にも負けるわ…、とも思うしかないわけであるが…。

有名なエピソードであり、関係者も多いことから
「風船爆弾」に関する話が若干長く感じられたが、
多くの劇場が「風船爆弾」のために接収されていた、という話など、
確かに始めて聞く話もあった。
また、偽札製造もやっており、陸軍中野学校や、
当時の日本軍の輜重(補給)事情なども興味深かった。

とはいえ、作品のユルさにも増して、
当時の国家機密に対するユルさも垣間見られ
(だからこそ現在に至るまでいろいろな話が漏れ伝わってもいるわけだが…)、
正直「本気で勝つ気があったんかいな」とか、
「やめられないから仕方なくカネつぎ込んでいた」とか思わないでもない、
そんな雰囲気が感じられたのが、哀しいというか、切ないというか…。

しかし、マスコミに煽られた部分が多分にあったとはいえ、
あの戦争を支持したのはほかならぬ当時の日本国民であり、
戦後口をつぐんできたことや、
米軍が彼らを抱え込んで(731部隊なども含めて)利用したことも含めて、
「総括」を困難なものにしている一因と言えるだろう。
戦犯になることなく、
企業のお偉いさんに収まる旧軍上層部の人間の厚顔ぶりを考えると、
戦後登戸研究所の真実を書籍化した伴繁夫が、
いくらかでもまともに見えてしまう(著書、読んでみたいです)のもなぁ…。

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