映画 『レイルウェイ 運命の旅路』(☆☆☆)
戦争モノを観るたびにワシは、
「日本の老人どもはやましいところがあるから口をつぐんできたのだ」
と言ってきたわけだが、
今作で語られている捕虜に対する過酷な扱いなどは、
まさにそのやましい部分のひとつと言えるだろう。
しかも、今作でその矢面に立つ元兵士(真田広之)は、
敵である英国兵(コリン・ファース)に
過酷な尋問や拷問を行っただけでなく、
英国に反撃されて捕まった際に「私は拷問などやっておりません」
と言い逃れした上に通訳という立場を利用して
まんまと英国軍に取り入ったわけである。
おかげで彼は、BC級戦犯として裁かれることもなく、
のうのうと生き続けることができたのだ。
一方、拷問を受けた英国兵の方は、PTSDに苦しめられ、
日本兵の生存を知り彼に会いに行くのである。
このキャスティングだと、ああいう落とし所にしかならないっていうか、
そもそも実話というか自叙伝がベースだから、
誰にも救いのないエンディングは用意しないだろうけど、
収容所でのやり取りをもう少し濃いめにやって欲しかったかなぁ。
あと、日本兵の擁護をするわけじゃないけど、
作中で上官が日本兵にする扱いを見ると、
彼もそう恵まれてる感じではないというか、
そもそも当時の日本は言論の自由が制限されていたわけだから、
当時の戦況をそのまま訳して上官に伝えたら、
ハナから信じないか口封じされるかだろうからねぇ…。
そもそも、上官のストーリーに基づく尋問からして、
現在の検察や警察のやりように通じるものがあるわけで、
日本兵がそれで苦しんでいたように、
やはりやましい部分に目をつむって今日までやり過ごしてきた
日本の老人どもの罪は重いと思うけどねぇ…。
それでいて、その後継者たる世代にあまり反省がないというのもねぇ…。
「クワイ川マーチ」でもおなじみ『戦場にかける橋』の話も出てくるが、
全体としては地味な印象の作品。
自叙伝ベースだからエンタテインメント的な部分を
過度に要求するのは間違っているのだろうが、
それにしても全体としては抑制の効きまくった、
悪く言えば盛り上がりに欠ける作品である。
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