« 映画 『ラスト・ベガス』(☆☆☆☆) | トップページ | 映画 『キカイダー REBOOT』(☆) »

映画 『マンデラ 自由への長い道』(☆☆☆☆☆)

『インビクタス』でも少しだけ触れられていた、
ネルソン・マンデラの獄中生活や、
それ以前の様子を描いた伝記映画。
しかし、イギリス相手に40年以上も政治闘争を繰り広げた彼の人生は、
政治の本質のいくつかの側面を見事に描き出している。
しかも、それが夫婦関係そのものとして描かれている点に、
南アフリカという国の病巣の根深さを感じさせてもくれる。

作中でマンデラ夫妻の心が離れた原因を、
「あまりにもお互い一人で居る時間が長すぎた」としているが、
その間にお互いの考え方が変わってしまったことは事実であろう。
ネルソンは、岩が川の流れに洗われるように老成し丸くなり、
白人との妥協によって早期かつ平和的な解決を模索するようになった。
一方のウィニーは、硬い岩を打ち割って石器を作るがごとく、
時とともに先鋭化しより戦闘的な革命家になってしまった。
妥協なき交渉は、多大な労力を費やすし、
それでいて破綻の可能性が高い。
今作でも、結局は武力闘争に発展し、
平和を望みながら多くの民衆を死に至らしめてしまうことになった。
ネルソンは、「私は白人たちに長い間投獄されていたが、それでも彼らを赦すのだ。
だからきっと、みんなも彼らを赦すことができるはずだ」
と、テレビ越しに民衆に訴えた。
もしネルソンが、感情に任せて闘争に走っていたら、
南アフリカが今の姿を手に入れることはなかったであろう。
なぜなら、彼はそれでも生きながらえてきたからである。
生きていれば、恥をすすぐこともできるし、許し合うこともできる。
理念なき妥協は、確かに問題があるだろう。
しかし、ネルソンが白人たちと妥協したのは、
今風に言えば「ウィンウィン」、つまり利害が一致したからであり、
第一に互いに平和を希求したからであろう。
ウィニーにとって、解放されたネルソンは、
政治的に妥協した「転向者」に映ったかもしれない。
しかし、ウィニーの道を歩んだならば、
南アフリカも今のエジプトなどのように理念なき混沌の中に堕ちた可能性が高い。

ラストで、ネルソンが「憎むことを教えられるならば、
愛することも教えられるはずである。
なぜなら、人間にとって愛することの方がより自然な感情だからである」
と語っている。
この言葉は、今の日中韓全てに贈られるべき言葉であろう。

作品としては、このように金言が散りばめられているいい作品なのだが、
投獄中が相当間だるくてテンポを悪くしている。
あの辺をもう少し煮詰めてくれれば、もっと良かったかも。

« 映画 『ラスト・ベガス』(☆☆☆☆) | トップページ | 映画 『キカイダー REBOOT』(☆) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画 『マンデラ 自由への長い道』(☆☆☆☆☆):

« 映画 『ラスト・ベガス』(☆☆☆☆) | トップページ | 映画 『キカイダー REBOOT』(☆) »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ