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映画 『世界の果ての通学路』(☆☆☆)

今作でもモロッコの事例を引いているが、
時あたかも「ボコ・ハラム」なるイスラム系の組織が、
西洋教育を否定すべく過激な運動を繰り広げているわけである。
教育とは、価値観の創造であり、
あるいは価値観の上書きとも言える。
日本で言えば、昨日まで信じていた「天皇中心の国家観」を、
終戦とともに墨で真っ黒に塗りつぶし、
アメリカ式の教育を上書きした歴史があるわけで、
教育とはそういう意味では人をいかようにもすることができる力がある。
ケニアの子供が「パイロットになって世界中を見てみたい」とか、
インドの足に障がいのある子供が
「医師になって自分みたいな子供たちを歩けるようにしてあげたい」とか、
そういう翼を与えてくれるのが教育なのである。
そして彼らは、その翼を得るために10数キロの道のりを、
時には人の力を借りたり、馬の力を借りたりして、
毎日行き来しているのである。
翻って日本である。
日本では、多くの場合校区によって区切られているため、
よほどの田舎でない限り歩いてせいぜい数十分の通学であろう。
そのよほどの田舎であっても、たいていの場合バスなりなんなりの
交通手段を自治体あたりが用意してくれていることであろう。
それだけ至れり尽くせりの状況でありながら、
多くの学生が教育をないがしろにし、飛躍の機会を逸しているのである。
一方の教育を与える主体であるべき国家や自治体も、
教育によって人を育てるという視点をないがしろにし、
教師に過重な労働を強い、教師がものを教えることに集中できない環境を
作ってはいないだろうか。
教育とは、国の形を形作る大切な要素である。
それをないがしろにしていては、
いかに国土を堅守しようが国家が立ち行かなくなるのではないだろうか。
今作に登場する子供達のように、
真っ当な夢を見て、それを高らかに語り、それを実現できる国に、
この国は果たしてなれるのだろうか。

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