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映画 『御手洗薫の愛と死』(☆☆☆☆)

ワシも、いちおうはモノ書きを目指している、
と言っている手前、
こういう作品は興味があるわけで、
実際興味深く観させてもらったわけだが、
業界の一面を描いているという意味でも、
なかなか面白い作品に仕上がっていると、
ワシは思うわけであります。

大作家(吉行和子)が酔っ払い運転して、
はねてしまったのが売れない作家(松岡充)の母親だった、
という導入はやや出来過ぎの感もあるが、
それを隠したい大作家と、
これをきっかけに業界でのし上がりたいと思う
売れない作家の思惑が一致する、
という意味では、このぐらいの導入を用意しないと、
逆にウソっぽくなるかもね。
しかし、ゴーストライターなんて、
よっぽど割り切って使わないとロクなことにならないことは、
奇しくも現実社会が証明してしまった後だけに
(また佐村河内ネタで悪いんですが…)、
そこの展開自体そう驚くものではなかった。
むしろ、大作家が自分のブランドの呪縛から脱して、
自由に書けるようになった、
と売れない作家に言っている辺りで、
大作家のたくましさというか、
大作家の大作家たる所以を見せつけられたのが、
今作の面白さというか深みに繋がっているように思われる。
一方、自分の分を超えたものを突然手に入れた
売れない作家は、
結局それを扱い損ねて自らをも破滅に導いてしまうわけだが、
アイデアだけでは戦えない業界であることを再認識させる一方で、
いろんな意味でブランド力がモノを言う
(そういう話は、小説の世界ばかりではないけどねぇ)、
業界であり、彼がこの悪魔の囁きに乗ってしまうのも、
ある意味無理からんことである。
また、業界も読者も思っている以上に保守的で
(それも小説の世界ばかりではないけどねぇ)、
それが表現者を縛り、また新規参入を妨げる要因になっていることも
今作は示唆している。

ワシは、まだその土俵にも立てていないわけだが、
ワシは今作からまた立ち上がる勇気を貰えた気がする。
推敲することの大切さ、
これはこの国にとっても言えることだと、ワシは思う
(国のことに置き換えると、
再検証とかいわゆる総括とかいうことになると思うが)。
そこまで大きなテーマのある作品ではないが、
作品としてはタイムリーでもあるし、
興味深い内容でもあると思われるのだが…。

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