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映画 『パンドラの約束』(☆☆☆)

「99%が仮説」と言われる科学の世界。
つまり、原発推進派も反原発派も、
誰かが唱えた仮説を基にお互いの論理を構築しているわけで、
究極的にはどっちも正しいしどっちも間違ってると言えるのである。
そんな中で今作は、基本的には反原発派の映画監督が、
原子力発電の可能性について掘り下げたドキュメンタリー映画。
確かに、第四世代原子炉が商業的に成立するなら、
原発推進派にとって大いなる福音となるに違いないが、
いかんせん原子力というものは、
同時に核であるという陰の側面もあるため、
政争の具となりやすいのである。
実際、アメリカでは原発推進派の共和党に、
「反対のための反対」なのか民主党が反原発に回って、
第4世代原子炉の研究を凍結してしまったという話が出てくる。
もっとも、同時にロシアから核弾頭を買い取って、
それを核燃料に転用しているという話も披瀝しており、
多様な視点からアプローチしているという意味では、
非常に興味深い作品になっている。

おそらく今作が本当に主張したいことは、
「原発推進」にしろ「反原発」にしろ、
いずれかの立場にのみ固執して思考停止になる愚を犯してならない、
ということなのではないかとワシは思うわけであります。
特に日本人は「あの戦争」で、
突然教科書を墨塗りして前言を全撤回、みたいなことを平気でやるわけで、
現在は多少健全な状況と言えなくもない。
ただ、お互いの立場が相変わらず平行線で、
その間で議論が進んでいない、また進めようともしない現状では、
思考停止に陥るのも時間の問題ではないだろうか。

ワシ自身は、原発に賛成でも反対でもない。
処理問題にしたところで、地層処分の要否がそもそもあるみたいだし、
放射能が安全なのか危険なのかということ自体、
最初に書いたように仮説の世界での話なのである。
『美味しんぼ』での鼻血描写は、結果的に行き過ぎだったが、
アレに対する国家のヒステリックとも思える反応も、
また行き過ぎたものだったとワシは思っている。
日本でも「政争の具」となっているわけであるし、
本来は国民全体を巻き込んで国家的なヴィジョンとして
構築すべき類の話のはずであろう。
ただ、アメリカでさえ政権が変わったら180度立場が変わってしまう、
というのではいけない大きな問題だと、
今作を観て改めて思った次第である。

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