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映画 『フルートベール駅で』(☆☆☆☆)

2009年元日、アメリカで起きた事件を元に、
その被害者のいろんな意味で特別な、そして最期の一日を描く今作。
陳腐な言葉で言えば、「いいヤツほど早く死ぬ」といったところだろうが、
今作が描く現代社会の病巣はやはり深いと言えるだろう。

まず、今作の主人公オスカー・グラント(マイケル・B・ジョーダン)は、
黒人であるということである。
列車内で騒ぎを起こして、列車はフルートベール駅で停車。
そこに警官が駆けつけるが、取り調べようと列車から引きずり出されたのは、
オスカー含めて全員黒人である。
こういった偏見に基づく犯人探しが、初動捜査ミスの典型と言えるだろう
(まぁ今回に関して言えば完全に間違いとも言えないのだが…)。
とはいえ、黒人たちの言い分をまったく聞かずに問答無用で逮捕というのでは、
あまりにも牽強付会であり、
それこそが今回の事件における決定的な初動捜査ミスとなってしまうわけである。

次に、オスカーは前科持ちであったことである。
確かに、彼には遅刻癖があり、
それが原因でスーパーマーケットをクビにされたわけであるが、
彼自身更生を願っていたわけであるし、
麻薬の売人にしても止むに止まれず手を染めた面があるのではないだろうか
(その辺の描写が無いので断言できないわけだが…)。
働き口はないが、家族は養わなければならない。
そうなれば、悪事に手を染めざるを得ない場合もあるわけで、
再犯防止という観点からも、むしろ彼らを積極的に社会が受け入れて行く度量が、
本来は求められているように思われる。
しかし、実際のところは前科が足かせになっているケースが少なくないわけで、
特に人材不足と言われている日本では、
猫の手ではないが前科者の手を借りなければならないのではないだろうか。
そのためには、やはり刑務所内での更生教育にはもっと力を入れるべきというか、
社会の実勢に沿ったものであるべきではないかと思うわけであるが…。

第三に、銃社会の怖さである。
本来、オスカーを射殺した警官は、
テーザー銃(拳銃型スタンガン)を構えるべきであったのに、
いきなり拳銃を抜いてしまった。
そして、周りの警官もそれに気付かない。
結局この警官は裁判で「誤認した」と主張し、
警察がよほど優秀な弁護士でもつけたのか、
過失致死でわずか懲役2年という判決。
この判決も、正直どうなのかねぇと思うわけだが、
お互いに強力な銃を持っている、という前提がある以上、
こういう事故のリスクは常に存在していると言えるだろう。

内容はスクリーンサイズではないが、
社会の病巣をえぐり出すと言う意味ではよくできた作品だと思う。

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