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映画 『夢は牛のお医者さん』(☆☆☆☆)

テレビ新潟(日本テレビ系列)が、
実に26年追いかけた一人の女の子のドキュメンタリー。
全校生徒9人(彼女が小学3年生当時)という小さな学校で、
「入学式がないのはさみしい」という理由で迎えられた3頭の仔牛。
その牛との出会いをきっかけに、その女の子は獣医になろうと思い定めたのです。
小学校卒業から2年で、小学校は廃校。
獣医という夢の性格上、大学入学は必須であるが、実家は牛の畜産農家。
折しも牛肉の輸入自由化の煽りを受けたこともあり、
家計は決して裕福とは言えず、
彼女は現役で合格しなければ夢を諦めるという、
文字通り「背水の陣」で入試に挑み、そして合格。
まぁ、あとは絵に描いたようなサクセスストーリー、と言いたいところですが、
その現場で畜産の置かれている現実というものを改めて思い知らされるのです。

まず、夢というものは何もないところから突然湧いて出るものではない、
ということです。
彼女は、牛と出会い、家も畜産を始めたことによって、
獣医という夢を見ることが出来たわけです。
そういう意味では、現代はありあまるほど夢を見せてくれる情報があるわけです。
しかし、その中から自分が終生追い求めるに値するものを見つけられるか。
そして、それを追い求められる環境があるか。
この家、というよりこの集落は、ほんとうにみなさんあったかい
(田舎というコミュニティの特性なんだろうが…)。
環境が、人を生かしも殺しもするという、いい例と言えるのではないだろうか。

もうひとつ、ワシも経済動物を相手に毎週悪戦苦闘してますが
(ただ競馬予想して馬券買ってるだけだけど)、
彼女が飛び込んだ世界もまた、経済動物を相手にする仕事。
だから、「命の値段」というものとリアルに向き合う現場なわけです。
だから彼女は、生かすか売るか、という究極の選択を、
ある意味左右する立場に立たされるわけである。
そういう意味では慣らされて行く悲哀を感じつつ、
彼女の成長を追って行くという楽しみ方もあるわけで、
よく言えば「定点観測の極み」、
悪く言えば「究極の青田買い」と言えるわけで、
その辺に面白さを求められるかが評価の分かれ目となるだろう。

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