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映画 『ミッション:15』(☆☆☆)

観客は、コレが心理実験(しかもフィクション)だとわかって観ているわけだが、
PTSDの問題や、それに伴う兵士の自殺は、
実際に問題になっているわけで、
終戦記念日(と日本が呼んでいる日)が近づくこの時期に、
しかも集団的自衛権が問題になっているこの時期に、
今作が公開された(あくまで札幌での話だが)というのは、
非常にタイムリーなわけである。

今作におけ米軍上層部は、PTSDで使い物にならなくなる、
あるいは帰還兵が自殺してしまわないよう、
新薬を開発してそれらを抑え込み、
再び兵士として戦場に送り出そうと考えている
(それは作品の後半で明かされるのだが)。
そこで、今作のような臨床実験を行って、
その新薬の効果や副作用などを検証しようというわけ。
選ばれたのは、まず実際に戦場に行った二人。
ひとりは、イスラム勢力に捕虜とされ、
彼らの軍門に下りながらも生還した子持ちの女性兵。
もうひとりは、戦闘中に仲間が自分のせい(詳細は不明)で
大怪我を負ってしまった上等兵。
そして、テキサスから無人機を操縦していて、
一般人数十人を爆死させた男性兵。
特に無人機を操縦していた兵士はクセが強く、
命令には絶対服従、しかも女性蔑視と、
社会適合性さえ疑われかねないレベル。
そんな3人をエレベーターの中に閉じ込め、
情報を小出しにしながら精神的に追い込んで、
新薬の効果などを観察しているわけだが…。

あくまでも臨床実験なのだから死人を出すなどもってのほかなのだが、
他の二人が待機命令を軽視するもんだから、
無人機を操縦していた兵士が暴走してしまい、
仲間を怪我させた兵士を殺してしまったあたりから、
観察者側もぶっ壊れ始め、
実験を指揮する将軍が「すごいリアルでいいじゃないか」とか言って、
「口封じの意味もあるから全員殺すための最終ミッションを実行せよ」
とまで命令してしまうのだ
(そんなクソヤローにふさわしいエンディングが待ってるわけだが…)。

将軍の気持ちもわからないわけではない。
こういう現実が報道されれば、兵士のなり手はますます少なくなるわけだし、
子持ちの女性兵士が言っているように、
PTSDを治さなければ社会復帰もままならないわけだから。
しかし、そもそも戦争しなければ済む話と言えなくもない。
では、国防の担い手はだれになるのか。
今作で示しているのは、戦場に直接行かなくても、
PTSDになりうるという現実である。
世界大戦の時代以降、戦争は一般市民を巻き込む、
総力戦の様相を強めている。
一般人を殺した罪悪感がPTSDの一因だとするなら、
やはり殺し合いそのものをやめて行く方向しかないわけど、
コトはそう単純ではないわけで、
特に日本はお隣に超ならず者国家を控えており
(そんな国とよしみを結んで
過去の問題を解決せざるを得ない現実もあるわけだが…)、
集団的自衛権でアメリカの威を借るようなこともしなければ、
単独で自国を守れない現実もあるわけである。
確かに、阿倍晋三のやり方には疑問符を打たざるを得ない。
しかし、この問題は我々日本人が70年近く目をそむけ続けてきた問題であり、
説明不足というのはいささか語弊があるように思われる。

命を賭けて国を守る兵士には、敬意を払わなければならない。
しかし、彼らも人間である。
今作のように、故あらば簡単に壊れてしまうことを、
忘れてはならないだろう。

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