DVD 『生きたい』(☆☆☆)
行きつけの飲み屋で『朽ちた手押し車』の話をしたら、
その作品と同じく三國連太郎が認知症老人やってる今作を見せてくれました。
『姥捨て山』をモチーフにしているだけあって、
基本的には介護問題がテーマ。
しかし、介護してる実の娘(大竹しのぶ)っていうのが、躁うつ症持ちで、
故あらば捨ててしまいたいと思ってるありさま。
しかも爺さんときたら、
認知症の程度が軽度なだけあって、いろいろとまぁ手癖が悪い。
途中に差し込まれる『姥捨て山』の話は、
伝承にある程度忠実で、しかも若干エロスを漂わせている。
他にも、なんかプレイ的なシーンや、
家の中に十数羽のカラスがいたりと、
新藤兼人ワールドを見事に発揮してる怪作ぶり。
不覚にもちょっと笑ってしまったよ。
しかし、『朽ちた手押し車』と比較することによって、
なぜ『朽ちた手押し車』がお蔵入りすることになったのかを
如実に知ることができた。
やはり、基本この業界の人たちはこういう問題には
とんと不真面目なのであろう。
今作以上にヘヴィで、しかも今作より15年も前に製作された
『朽ちた手押し車』では、
まぁ確かに興行的に失敗するのは目に見えてることだろう。
しかし、今作のようなキャスティング押しな映画は
(なんか大森南朋も出てるし…)、
確かに興行的には成功するかもしれないが、
こういうふざけた内容(少なくともワシにはそう見えた)では、
問題の本質は何一つ見えてこないであろう。
小難しく考えないで観るのが正しい作品なのであろうが、
そこをうまく両立させるのが監督なり脚本なりの腕の見せ所なのではないかと、
ワシは思うのだが…。
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