映画 『プロミスト・ランド』(☆☆☆)
『マイ・リトル・ヒーロー』同様、これもわりと先が読める作品。
だいたい、スティーブ(マット・デイモン)が、
大企業の論理を振り回しすぎてて、
見るからに「こんな調子じゃ地元民は懐柔しきれないよ」と思ったら、
案の定環境保護団体を名乗る男が現れるんだけど、
この男の存在が実はミソで、
大企業(少なくともアメリカの)とやらがその社員をどう思っているのかということを、
実はまざまざと見せつけられるのである。
そこでスティーブは大きな決断をする、
というのが今作のクライマックスで、
要するに環境問題云々が今作の本旨ではないということである。
しかし、今作の中で行われている話は、
日本でも少なからず見られたことで、
最近の日本ではもっと乱暴になっているというのが正直なところであろう
(住民のコンセンサスをまともに取らず、土地収用などを強行するとか…)。
今作のように化学薬品で土壌が汚染される、という話は極端としても、
原子炉を冷却する水を海に垂れ流したことによって、
海水温が上昇し、周辺漁業に少なからぬ影響を与えている、
なんていう話は日本中の原発の周辺で聞かれることだし、
毒を垂れ流してるという話だって、水俣や足尾の例を上げるまでもなく、
明治維新以降幾度となく聞かされただろう。
つまり、今作のような話は、日本にとっていつか来た道であり、
中国(現在進行形か)や途上国で今後騒がれる
(あるいは既に騒いでいる)問題なのである。
その時、正しい知識を持って、それでも繁栄のためにリスクを取るのか、
それとも今あるものを大事にするかを、
我々地球市民は決められるのか、ということなのである。
日々の生活に汲々としているばかりでは、
知らず知らずのうちに自分の思いも寄らない方向に、
世の中は向かってしまうのである。
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