映画 『大いなる沈黙へ-グランド・シャルトルーズ修道院-』(☆☆☆)
世界一厳格な修道院と言われる、フランスアルプスに建つ、
グランド・シャルトルーズ修道院。
今作の監督であるフィリップ・グレーニングが、
最初に同院の撮影を申請したのが1984年。
それから16年して、ようやく条件付きで撮影許可が降りる。
その条件とは、
ノーBGM、ノーナレーション、ノー照明で、
中に入れるのは監督一人だけ。
監督は、その条件を飲み、6ヶ月間修道院内を撮りまくった。
その6ヶ月の集大成が今作というわけである。
実に映画らしい企画というか、
映画でないと成立しない企画であろう。
インタビューらしいところもあるにはあるが、
それは今作において重要な部分ではない。
多くは、彼ら修道士の祈りと生活を美しい景色の中で映し出しているものであり、
喧騒の中にある我々文明人とは一線を画する、
静かで、孤独で、悪く言えば退屈な日々である。
逆に言えば、我々文明人が簡単には持ち得ない、
ひとり物静かに沈思したり思索したりする時間を、
イヤというほど持てるということでもあるのだ。
今作を観るには相当な覚悟が必要である。
音楽やナレーションによる演出を否定されており、
抑揚というものを基本的に否定されているため、
相応の準備をしていかないと眠くなること必至である。
しかし、今作を観ることにより、我々文明人が普段持つことのできない、
静寂と孤独の時間を少しでも持つことができ、
その中で何かを得ることができれば、
それはそれで幸いであると思う。
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