« 映画 『るろうに剣心 伝説の最期編』(☆☆☆) | トップページ | 映画 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(☆☆☆☆) »

映画 『わたしは生きていける』(☆☆☆)

イマドキなビルドゥング・ロマンス(成長譚)&ラブストーリーではあるが、
『トワイライト』シリーズみたいなダークファンタジーではなく、
わりと生々しい設定。
原作は、2003年に米英の権威ある児童文学の賞を獲得した小説。
しかし、10年前の小説は思えない今日性が垣間見られるのは、
世界市民としては悲しむべきところかもしれない。

主人公は、母親の命と引き換えにこの世に生を受けた女の子デイジー
(シアーシャ・ローナン)。
自らを「疫病神」と呼び、やたら潔癖症で、
しかも日々頭の中でいろんな声がしている、
いろんな意味でアレな女の子。
そんなデイジーが、いとこのいるイギリスの片田舎にやって来て、
そこでいとこのエディ(ジョージ・マッケイ)といい仲になるんだけど、
ロンドンで核爆弾が爆発して、
デイジーたちのいる片田舎にも死の灰が降り、
英国全土に戒厳令が敷かれ、民法も停止。
軍によって強制的に避難させられ、
デイジーとエディは離ればなれにされるが、
この時二人は「何があってもこの場所に戻ってこよう」と約束する。
やがてデイジーは、その約束を果たすために行動を起こすのだが…。

後味があまり良くないエンディングを迎えるが、
ダラダラ続いたり、予定調和なエンディングを迎えるよりは、
この設定にはこういうエンディングの方がむしろしっくりくるとは思う。
ただ、作品そのものが地味なので、
そもそもあまりお勧めできるポイントが無い。

とはいえ、前述したように10年前の原作でありながら、
今日性のある設定に、ワシは心惹かれるものがあった。
極東では北朝鮮から東シナ海、南シナ海と、
日本も関係する険悪な状況が続いている。
黒海周辺では、クリミア情勢などに絡んで
欧米とロシアの関係が険悪になっているし、
北アフリカでは「イスラム国」とかいうテロリスト
(もはやそう呼べるレベルではないかもしれないが…)が、
「アラブの春」の混乱に乗じて、
それこそ国家を僭称するほどの勢力に成長している。
しかも、北朝鮮を中心に核兵器の売買が行われている疑惑もあり、
今作のような状況が、いつどこで起こるかもしれない、
一触即発の状況と言えなくもない。
その時、「戦争は良くない」と言ってるだけで、
何の備えも無しでは、巻き込まれた時になすすべがないわけである。
まして、隣のメガロマニア国家は、
アジア旧来の「中華」秩序を回復しようと、
隣国日本に「我が国に弓引くような軍事力を持つのはけしからん」とばかりに、
自分たちはせっせと軍拡してるくせに、
「日本の再軍備はけしからん」と世界に発信している。
我々は、今作に登場する、のほほんとした子どもたちとは違うはずなのである。
もちろん、デイジーのようなたくましさはこの国に必要だろう。
しかし、「戦争は良くない」と言うのなら、
全力で回避する努力というものを、本来はするべきで、
その努力を欠き続けてきたのが、
あの戦争前後からのこの国のあり方であり、
そういう意味では実にのほほんとした国であると思う。

« 映画 『るろうに剣心 伝説の最期編』(☆☆☆) | トップページ | 映画 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(☆☆☆☆) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画 『わたしは生きていける』(☆☆☆):

« 映画 『るろうに剣心 伝説の最期編』(☆☆☆) | トップページ | 映画 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(☆☆☆☆) »

2020年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ