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映画 『イヴ・サンローラン』(☆☆☆)

シャネル絡み(『ココ・シャネル』&『ココ・アヴァン・シャネル』)以来の
ファッションデザイナー本人の伝記映画。
もともとディオールのデザイナーであり、
世に出たのもディオールの後継者としてだった、
イヴ・サンローラン(ピエール・ニネ)の物語である。
しかし、徴兵されたことにより
(26歳でディオールを継いだのだから、徴兵も仕方ない年齢なんだろうが…)、
もともと内向的でしかもホモセクシャルだった彼は
(学生時代からそれでいじめられていたらしい)、
精神を病んでしまい、それがきっかけでディオールをクビになってしまう。
病が癒えたイヴは、パートナー(いろんな意味で)の
ベルジュ(ギョーム・ガリエンヌ)とともに、
ディオールを不当解雇で訴えこれに勝利。
賠償金を元手に自らのブランド「イヴ・サンローラン」を立ち上げる。
独特のヒラメキで、ディオール時代を含めれば40年に渡り、
ファッション界のトップランナーとして走り続けた、
「モードの帝王」である。
しかし、そんな彼も「新しさ」との戦いに常に晒され、
そのなかで幾つものヒラメキ(作中では「モンドリアン」などが挙げられている)
でセンセーションを起こす一方、
美術品を買い漁り(まぁ、このぐらいなら金持ちならフツーか)、
街頭で男娼を買い
(パートナーとそういう関係だから浮気もこうなってしまうのだが)、
ドラッグに手を出す。
街で騒ぎを起こし(結果的に売名行為になってしまうところがセレブ的)、
ベルジュに尻拭いをしてもらう羽目になる。
ただ、本来イヴは、デザイナー以外はサッパリの
専門バカ(もちろんいい意味で)で、
周りの人間がそれ以上のものを彼に求めてしまうことで、
彼が懊悩してしまうのだ。
そういう意味では純粋であり、また繊細なのであろう。
しかし、繊細であるからこそ世間の要求に対して
敏感に反応できるとも言えるわけで、
この辺の危うい均衡が彼を
「モードの帝王」たらしめた一因と見ることもできるだろう。

しかし、肝心のクライマックスで完全に展開がだれてしまい、
ワシ自身まさかの見逃し。
若くして一度上り詰めてしまうと、
映画的には再び盛り上げるのが厳しくなってしまうという、
一例と言えるかもしれない。
とはいえ、才能あるアーティスト
(イヴは自分が芸術家であるとは思っていなかったようだが)が、
苦境に陥るとドラッグに走ってしまうという構図は、
今また現在進行形の出来事であり、
その一因は彼らに常に「新しさ」を要求する、
我々消費者の側にもあるということは肝に銘じておくべきだろう。

理解されないことに耐えること。
それは、天才ゆえの孤独と陳腐な言葉に置き換えることもできるが、
これに耐え抜いてそのあ「新しさ」をわからせた人間を
人は「天才」と呼ぶのだろう。
その道の遠さと険しさを、改めて思い知らされた。

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コメント

ユウマさん、こんばんは。
少し早い目に投票しますね~。

11R 第59回 京成杯オータムハンデキャップ(GIII)
◎4番サトノギャラント
○1番エキストラエンド
▲12番エクセラントカーヴ
△6番ブレイズアトレイル
×3番クラレント

ほとんど関屋記念組中心で考えました。
サトノギャラントは大きく出遅れなければ勝ちに等しい内容でした。
勝ったクラレントとは今回2キロ差あるので、
良馬場なら、更にサトノが有利に見えます。
ブレイズアトレイルは良馬場が得意、
前走稍重馬場で4着は地力強化を伺わせる内容です。
あと58キロを背負うクラレントは3着ぐらいに頑張るかもです。
サトノパデックはいりません。

11R 第28回 セントウルステークス(GII)
◎3番エピセアローム
○4番トーホウアマポーラ
▲2番マヤノリュウジン
△12番エーシントップ
×15番ハクサンムーン
注6番スギノエンデバー

北九州記念は前残りで後ろの馬は力を出せない展開でした。
ここでの上位馬が人気になるなら、その逆を狙ってみたい。
別定戦なので軽斤量馬で好走をした馬は消してみました。
本命はエピセアロームです。
前走は大外から伸びてきましたが、先行馬有利な展開で
負けてしまいましたが、開幕週の阪神とはいえ、
力差が出やすいコース設定になるのはプラスです。
この馬から流してみたいです。

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