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映画 『K2 初登頂の真実』(☆☆☆☆)

2010年公開の『アイガー北壁』辺りから、
世界的に「山映画」がちょいちょい見られるようになってきた。
今作は、その中でも『ヒマラヤ 運命の山』に近い、
初登頂の快挙に絡む疑惑に関する話ではあるが、
『ヒマラヤ~』ほど後味は悪くない。
というのも、今作は戦後間もない敗戦国イタリアを勇気づけようと結成された
「K2登頂イタリアナショナルチーム」結成から、
初登頂にありがちな様々なトラブルを乗り越えて、
初登頂を果たすまでの顛末を、
虚実入り混ぜて映画化したものだからである。
キャラの味付けがいちいちイタリアらしくて、
個性が出ているのが、なかなか良いんじゃないだろうか。

ただ、疑惑絡みというのは、
そもそもこのチームを結成したデジオ教授は、
当時イタリア登山界で名声の高かったカシンという男を
最終メンバーから外してしまうところから始まる。
チームの精神的支柱になったであろう彼の離脱から、
このチームの歯車は微妙に狂い出す。
その最たるものは、登頂アタックをするメンバーに、
チームの実力者であるボナッティを外してしまったことである
(確かに、性格的にやや難のある男ではあるのだが…)。
おそらくこの2つの事象に共通するのは、
「初登頂の名誉を我が物としたい」ということであろう。
こういうのがあまり露骨になると、「後味の悪い物語」になってしまうのだが、
今作のネタ元が、実はその外されたボナッティの報告書であることが、
ある意味救いとなっている
(もちろん、ひがみととれる描写もあるわけだが…)。
周りには、最終キャンプに酸素ボンベをほぼ単独で担ぎ上げた
彼を称賛する者もいたが、彼自身は
「オレは登頂したわけじゃないし、(ボンベのことは)義務でやっただけだよ」
と言い、さらに、
「このチーム全員が英雄だよ」
というのである
(この辺が『アンナプルナ南壁 7400mの男たち』と共通するところなのだが)。
先ほども書いたように、オレは彼の報告書が元になっているわけだから、
これらの発言が後付けである疑念は無くは無いのだが、
しかしこういう感情がある意味登山家共通の感情であることを、
『アンナプルナ~』で証明しているので、
おそらく彼の発言は真実なのであろう。
結果的に、デジオ教授が目指した
「チームワークによる登頂」とは程遠い形で初登頂は実現されたわけだが、
当時はそれを隠して「チーム全体による登頂」と発表し、
登頂者の個人名を公表しなかった。
しかし、そもそもデジオ教授がカシンを外してなかったら、
こうなっていない可能性もあったわけで、
その辺りオリンピックの代表選手選定を思わせる、
失敗できない難しさと言えるのかもしれない。

最近は「単独登頂」がもてはやされている感じもしないではないが
(『アンナプルナ~』に出てくる登山家の中にもそういう人が出てくるが)、
シェルパも含めたチームプレイによる登頂というのも、
充分に難業なのである
(それはそれで、資金力の有無がモノを言ったりしてしまうわけだが…)。
ただ、征服欲なしに、こういった難行は成し遂げられないわけで、
欲望の光と影を鮮明に映し出した映画だと言えるだろう。

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