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映画 『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(☆☆☆)

グレース・ケリー(作中ではニコール・キッドマン)が
モナコに嫁いだことぐらいはワシも知っているが、
なにせまだ生まれてなかったもんで、
それ以降のことは知りませんでした。
今作に関してモナコ公室は
「過度に美化されている」と批判的なようで、
しかもネットで調べても今作のようなことが実際にあったかどうかも、
イマイチ判然としないので、
今作をどこまで史実としてとらえていいのかわからんわけですが…。
しかし、「国家に嫁ぐ」という毅然たる覚悟と、
それに殉じて戦ったということ自体が事実であるとするならば、
それは美化云々以前に立派なお覚悟としか言いようがないし、
もともとが女優であるわけだから、
「見事大役を果たした」ということにもなるわけである。

今作を観て、二人の王妃のことが頭をよぎった。
一人は、イギリス皇太子妃プリンセス・ダイアナである。
グレースの夫レーニエ大公も相当な放蕩者であったそうだが
(作中にもそれらしい描写があるが)、
ダイアナの夫チャールズはついに別れることになったわけで、
そういう意味では国家の危機がレーニエとグレースの絆を強めた。
逆に言えば、イギリス王室にはそれほどの危機がなかった
(むしろダイアナの死後危機が訪れたと言ってもいいかも)ために、
忍耐を強いられることがなかったのが、
チャールズとダイアナにとっての不幸だったと言えるかもしれない。
もう一人は日本の現皇太子妃雅子妃殿下である。
彼女の場合、皇太子にどう言われているのかはわからないが、
「国家に嫁ぐ」という覚悟が明らかに足りないように思われる。
権力者としては、レーニエ大公にも劣るが、
権威という意味においてはバチカンの王たるローマ法王に比するぐらいなのだから、
世界的に見ても相当な王室のはずなのである。
にもかかわらず、やっていることは一般家庭とそう変わらない、
良くも悪くも権威を感じさせないものである。
グレースのような毅然たる態度も、
あくまでも、家庭の静謐を守るために使いうばかりである。

なんとも評価のしにくい映画。
作中で言われるように「おとぎ話」として観るのが正解なのかもしれない。

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