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映画 『誰よりも狙われた男』(☆☆☆)

日本で言えば『公安警察』的な話ではあるが、
そこは陸続きのヨーロッパ。
そうでなくても、9・11以降注目を集める国際港湾都市ハンブルグである。
イスラム過激派が相手となれば、
イヤでも敏感にならざるを得ない状況にあるわけである。
バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)率いる諜報チームは、
そういうテロリズムを芽のうちに摘むのではなく、
一網打尽にしようという戦略をとっている。
だから、テロリストらしき男が侵入したと聞けば、
それを泳がせ、その意図を探り、ネットワークを解析し、
大物をあぶり出し、巣ごと破壊しようというのである。
そのためには、一般人(と、今作の場合言い切れないところもあるが)だって、
脅したりなだめたりして利用する
(この辺は『公安警察』に近いところがある)。
しかし、世界的な大物となれば、「世界の警察」アメリカの
影の荒事担当であるCIAさんも黙っていないわけである。
バッハマンは、過去にCIAさんと因縁があるようで、
その辺もラストに向けて俄然盛り上がりを見せる要素になってくるのだが…。

人権と経済と政治と平和。
これらが同じ方向を向いていれば、誰も困らないんだろうけど、
まぁそんなこと有り得ないわけで、
いかに「貧困の撲滅」を唱えても、
格差問題という「相対的貧困」の問題はまず解決できないだろうし、
人権に関する考え方だって「イスラム国」の例を引くまでもなく、
一宗教の宗派間でさえ千差万別なのである。
ある意味では、バッハマンのように泳がせることで、
過激派の活動が助長されているという面もあるし、
人権派(と呼ばれる)弁護士などが過剰な人権意識を振りかざすことで、
過激派が異国で活動する助けになってしまっている場合も、
今作のようにありうるわけである。
作中のセリフにあるように
「どんな善人にも悪の面が皆無ということはない」のであるから、
右が正しくもあり、左が正しくもあるのだ。

左寄り新聞の代表格と言われる朝日新聞が、
誤報問題で槍玉に挙げられているが、
それは言論界にとっては自分で自分の首を締める行為になりかねないことを、
彼らは理解しているのだろうか。
今作のラストのようにならなければいいが…とも思う。
そういう意味では示唆に富んだ今日的な作品ではあるが、
そこまでセンセーショナルな作品でもないし、
現代は残念ながらリアルの方がラディカルで、
今作の内容でもやや手ぬるく見えてしまうというのがザンネンなポイント。
フィクションの力が、そういう意味でも試されてるわけである。

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