映画 『ジャッジ 裁かれる判事』(☆☆☆☆)
アメリカ映画の得意技である「家族の物語」と「法廷劇」の融合。
しかも親子が判事と弁護士という組み合わせで、
その上判事が被告人になるというなかなか捻ったストーリー。
妻を失い、しかも末期ガンの判事。
妻を埋葬したその晩、過去に裁いた男を轢き殺してしまう。
状況証拠は揃っているものの目撃者は無し。
本来なら事故で片付けられてもおかしくないのだが、
地元の弁護士が頼りないせいもあって殺人罪されてしまう。
一方、母親(=父の妻)の葬儀に参列した息子。
シカゴでは「クロでもシロと言いくるめる」辣腕弁護士。
予審の段階で地元弁護士の頼りなさを
もどかしい思いをしながら見ているだけだったが、
その地元弁護士が彼の手腕を買って自ら助手に降格。
図らずも父の弁護を請け負うことになってしまったのだが…。
もちろん、過去の確執が解けていくまでがメインなのではあるが、
息子が過去に舞台となる田舎町に置いていったさまざまなことが、
思い起こされていくのである。
ヤンチャだった青年時代の過ち。
幼馴染との再会と、その娘との出会い。
一方で、法曹界に身を置くからこそ理解できるようになった、
父親の過去や現在。
被告人と弁護士という以前に父と子として、
改めて違いの理解を深めていくという、ストーリー展開はさすがである。
もちろん、辣腕弁護士として、裁判を勝ちに行こうとするにだが、
それは同時に父親の名声を突き崩しかねない、
男の晩節に関わる話にもなっていくわけであり、
それらを踏まえたラストの余韻も素晴らしい。
重層的だが、決して重々しくない、心地よい作品である。
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