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映画 『トラッシュ!-この街が輝く日まで-』(☆☆☆☆☆)

今作の舞台はブラジルであり、
主人公たちは最下層貧民で,ゴミ拾いで生計を立てている。
「日本にも貧困問題はある」とおっしゃる諸兄がいるかもしれないが、
日本のいわゆる貧困問題は格差問題であり、
言い換えれば相対的貧困である。
ブラジルにあるそれは、まさに絶対的貧困であり、
さらに言えばいくら金銭的あるいは物質的に豊かになっても、
悩みは尽きないということのいい証左であるといえるだろう。

そんなゴミ拾いで生計を立てている少年たちが、
そのゴミ捨て場で財布を拾うところからこの物語は始まる。
いや、正確に言えば、その財布の出どころの話から始まるのだが、
財布のもともとの持ち主がいかなる意図を持ってこの挙に至ったのかが、
詳細に描かれていないので彼の存在自体はそう重要ではない。
財布の中身は、それなりの額のお金と、コインロッカーのカギ、
持ち主の身分証明書、財布の持ち主の娘(と後に判明する)の写真、
「アニマルロト」と呼ばれる宝くじに、カレンダー付きの聖画像。
そして、その財布が危険な品物であることはすぐに判明する。
警察が、そのゴミ捨て場に現れ、
カネをばらまいてまでそれを探し出そうとし始めたからだ。
最初に拾ったラファエルは、それを警察に渡さず、
友人とともにその正体を突き止めようとするのだが、
その財布が、実はブラジルの闇と深くつながっていたのである。
命の危険にさらされながらも、少年たちの冒険が続くのだが…。

日本で言えば「少年探偵団」的なノリではあるが、
彼らが追い求める真実は実に深刻であり、
マララ・ユスフザイほどではないにしても、
少年たちが立ち向かうにはあまりにも強大な闇である。
しかし、それを軽快に、かつ痛快に描き上げているところに、
今作の素晴らしさがある。
かと言っておちゃらけてるわけではないのは、
彼らが純真で希望に満ちた子どもたちだからであろう。
やはり、「世の中を悪くするのはいつも大人たち」なのである。
日本のアニメでも、子どもが主人公として悪に立ち向かう構図がよく描かれるが、
それは偶然ではなく、
大人たちがしばしば悪と妥協してしまうからであろう
(だからこそ、富野由悠季などは最近になっても大人に失望し続けてるわけだが…)。
こういう作品をこそ、親たちは子どもたちに見せて与えるべきなのである。
もちろん、希望を失い、世間に迎合してる大人たちにとっても、
大いなる福音となる作品だろう。

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