映画 『ミルカ』(☆☆☆)
『エクソダス』の回でも書いたが、
それこそガンジーなどは、インドとパキスタンの分離独立など、
望んではいなかったわけである。
そのいさかいのために、ミルカ・シンのような
不幸な子供が生まれてしまったわけだから。
ミルカ・シンは、戦後インドを象徴するような人物で、
陸上400mで世界記録保持者にもなったことのある、
日本で言えば古橋広之進(この人は水泳だが)のような人物である。
ところが彼は、ローマオリンピックの陸上400m決勝で、
あろうことかゴール前で振り返ってしまうという失態を演じて、
メダルを撮り損なってしまう。
その上に、インド・パキスタン親善陸上大会に
代表選手として参加してもらいたいと、大統領直々にオファーをもらっていた。
パキスタンに良い思い出のないミルカは、
それを固辞し、片田舎に引きこもってしまう。
インド陸上界としては、大統領からの願いということもあり、
なんとか彼に出馬願おうとその片田舎に向かうのだが、
その道中で彼の半生を振り返り、暗澹たる思いに落ちていくのである。
と、ざっくりあらすじを書いてみたわけだが、
正直インド映画じゃなかったら「長いし無駄が多い」で済ますレベルの作品。
2時間半超え(おそらく本国ではダンスシーン込みで3時間を優に超えてくるだろう)の
作品で、ずいぶんな寄り道をしてるし
(ぶっちゃけ初恋の話とかほとんどいらないし)、
かと思えば肝心のミルカのトラウマの部分はわりとあっさりと、
ペース配分なんか間違ってない?
伝記的映画なのでエンタメテイストも普段より抑えめだし
(まぁ、それ自体は悪いことではないのだが)、
でもそのわりにはやっぱり長いんだよね。
いつものインド映画と思って観に行くと、
期待を裏切られることになるが、
国民的英雄をあまり茶化すわけにもいかないので、
その辺のさじ加減については
インド映画界も少しは考えたほうがいいのではないだろうか。
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