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映画 『ドラフト・デイ』(☆☆☆☆)

「世界一成功しているプロスポーツリーグ」と言われている、「NFL」。
数日前に、その最大のイベント「スーパーボウル」も終わったばかりだが、
今年のスーパーボウルMVPトム・ブレイディ
(現役最高、いや歴代屈指といわれる名クォーターバック)も、
今作で扱われるNFLドラフトでは199位(全体順位表示だが、相当下位)
だったと、今作でも紹介されている。

NFLの成功の秘訣は、
「サラリーキャップ制」と厳密な「ドラフト制度」にあるといえるだろう。
サラリーキャップとは、年俸総額に制限を加えることであり、
これにより各チーム間のチーム力をある程度均一化することができる。
そして、今作ではご丁寧に本編が始まる前に、
「NFLドラフト」のシステム説明が入る。
まず、「完全ウェーバー制」である。
つまり、前シーズンの成績の悪い順(例外アリ)に指名し、
同じ選手を以降の順位のチームが指名することはできない。
日本のプロ野球を引き合いに出して説明しているが、
同順内抽選も逆指名も存在しない。
指名されたら、ある意味いやも応もないのである。
しかし、早い順位で指名されるということは、
それだけ評価されているということでもあり、
その順位は現役中ずっとついて回るといってもいいであろう。
しかし、例外もある。
実はこの順番、各チーム間の交渉により売買することができるのだ。
早い順番(=希望の選手)を獲得するために、
現役選手や未来の指名権を対価にするのである。
その駆け引きの一端を垣間見せるのが、まさに今作なのである。

自分たちの希望の選手が他のチームとかぶらなければ、
もちろんこのトレードは意味をなさない。
だからこそ、他チームの狙いを探りつつ、
狙いのチームの欲しそうなものを探り、
それを材料に交渉をするわけである。
ただ、相手にも戦略がある。
チーム作りに必要な選手や、
近い将来ドラフトに上がってくる有望選手のために
未来のドラフト権を欲しがるチームもあるであろう。
その腹の探り合いを、実際に指名するまでに行い、
有望選手を獲得するのがGMの仕事の一つといえるだろう。
一方で、オーナー(君主)や監督(現場)の思惑、
さらにはGM本人の思惑なども絡み合う、
リーグ戦とはまた違う戦場なのである。

今作のような痛快事は、そう起こるものではない
(フィクションなのだから当たり前なのだが)。
それに、トム・ブレイディの例もあるように、
このような痛快なドラフトを行っても、
本当に結果が出るかどうかは、1シーズン、
いや5年10年と戦っていかなければわからないものでもある。
しかし、そこには確固たる戦略があり
(その中心にはクォーターバックがいるわけだが)、
チームとして機能するか否かの問題にもなってくるわけである。
ただ、各校のエースばかりを寄せ集めても、
それがチームとしてのまとまりを持ち、機能しなければ、
その強化は強化にならないわけである。

少々余計な話も絡んでくる作品ではあるが、
NFL全面協力に近い陣容でお送りする今作である
(コミッショナー含めて自身役で登場する人物が結構多いのが今作の特徴)。
世界一エキサイティングなドラフトの現場を、
ぜひ覗き見してもらいたい
(ホントは、実際のNFLドラフト見たいんだけどね)。

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