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映画 『おみおくりの作法』(☆☆☆)

どっかのレビューで『悼む人』と観比べると面白いかも、
と書いていたが、ワシはアッチは予告編だけでOKです。
だいたい、趣味で他人の死を悼むなんて、 にわかに信じられないし、
「よくやってる」感を押しつけてる感じを漂わせてるのも、
正直鼻につくんだよね。
その点、今作の主人公は公務員。
自治体のお仕事で孤独死の現場に立ち会い、
主人公であるジョン・メイ(エディ・マーサン)の趣味で、
最後の見送り人となるのである。
ある意味効率的なシステムで、墓地を用意しなくても、
公務員だから決まった場所に散骨だってできる。
もちろん、墓地だって自治体の権限で用意できるし、
個人情報にだってある程度立ち入れる。
ただし、欧米には伝統的に戸籍登録の制度が無いため、
家族などの追跡にはこういった個人の力が実は必要だったりするのである。
「名探偵」がヨーロッパに数多く存在するのには、
そういう理由もあるのかもしれない。

閑話休題。
そんなジョンに危機が訪れる。
彼の仕事ぶりがあまりにも非効率(お上から見ればやりすぎ)なので、
他の地区と統廃合してジョンを解雇するというのである。
彼に残された最後の仕事は、自分の家の向かいに住む男の葬式をあげること。
そのために彼は、東奔西走するのだが…。
ジョンは40過ぎで妻子もなく、家はおろか職場でもひとりきり。
それゆえ、孤独死していく人々に、自分の未来を重ねていたのかもしれない。
しかし、その最後の仕事で、彼はさまざまな出会いを得て、
今までにない充実感を得ていた。
そこに、降って湧いたような衝撃の結末。
いや、正直この終わり方は切なくなるというか、やるせないね。
ワシも親と同居してるとはいえ未婚だし、
ゆくゆくは一人になってしまうと考えると、
このままではこういう人生の終え方をしてしまうんだな、
としみじみ思うとともに、
まだまだ生に縛られてるな、とも感じてしまうわけで…。
独り身の人には、是非観て、何かを感じてもらいたい、そんな作品。

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