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映画 『パリよ、永遠に』(☆☆☆)

今作の一方の主役である駐仏スウェーデン総領事ノルドリンク
(アンドレ・デュソリエ)の手記が元になっている今作。
とはいえ、舞台演劇用の脚本を経ての映画化であるため、
登場人物も限られ、実際よりも相当タイムスパンを短くしている。
そのため、とんでもないタフネゴシエーションと、
とんでもない急テンポで話が進む。
ノルドリンクは、独仏両国の未来と、無辜の市民の保護、
そして世界に冠たる大観光都市パリの財産である
景観そのものを守ろうと、この交渉に挑む。
しかし、相手であるドイツ軍パリ防衛司令官のコルティッツ
(ニエル・アレストリュプ)は、軍の規律と士気、
そして親族連座法(ナチスが配下の家族を実質人質とする法律)により
縛られているがゆえにパリ爆破を強行しようと譲らない。

確かに、実際問題一晩(もっと言えば数時間)で
これだけの話がまとまるはずのないのだが、
短時間に押し込めたがゆえの緊張感は確かにある。
作戦決行のタイムリミットも迫ってるし、
決行か否かで家族の、あるいはパリ市民の命がかかってくるのである。
信用を醸成する外交も確かに重要だが、
こういう切迫した外交交渉も確かに存在するわけで、
多くの国境を接するヨーロッパでは日常的なことなのだろう。

翻って日本である。
四方を海に囲まれ、隣国は強すぎる大国中国という構図は、
2000年以上変わっていない。
そういう意味では外交経験値を高める素地にはもともと無いと言える。
しかし、そういう中でも相当な無茶をいくつもやってるわけで、
亡国の危機もいくつかあったわけである。
にも関わらず、たいして反省の色がないのはなぜだろうか。
例えばの話、東京は何を目指しているのだろうか。
パリのような大観光都市なのか。
ニューヨークのような金融拠点なのか。
アジア政治のキーなのか。
全部なんて到底無理である。
だいたい、明日突然首都機能が停止するリスクがある街なのに、
リスクヘッジなんてほとんど行われてないのである。
それでいて、地方の活力だけはグングン吸い上げているわけである
(『太秦ライムライト』にも、チラッとそういうエピソードが登場する)。
福祉や国防だってもちろん大事である。
しかし、寺田寅彦も言っているように、
災害と戦うのも立派な国防であり愛国である。
いまだ復興道半ばの東北を見るだに、
多くの政治家の先生たちは「愛郷心」止まりなのでは、
という思いがふつふつとわいてくるわけで、
そんな料簡の狭いヤカラに国家を左右する外交など望むべくもないわけである。
まして、世界の財産を守るなど…。

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