映画 『太秦ライムライト』(☆☆☆)
札幌ではようやくの公開。
『イン・ザ・ヒーロー』とセットで観ておきたい、
日本映画独特の裏方を扱った今作
(と言っても、殺陣という大きなくくりで言えば同業と言えるかも)。
とはいえ、『イン・ザ・ヒーロー』ほどの希望もない
(まぁ、タイトルの元ネタが元ネタだけに当然なのだが)、
「老雄は消え行くのみ」といったテイストの映画。
今作のザンネンなポイントは、クライマックスの
映画版『江戸桜風雲録』を包む全体的な雰囲気が
「物語のための物語」になってしまったことだろう。
一度は切り捨てたプロデューサーが、
いかなる経緯で劇場版製作に踏み切ったのか。
そして、当初は加美山(福本清三)出演に
難色を示していたプロデューサーが、
「私の責任で、どうか彼を使ってやってください」とまで、
なぜ突然言い出したのか。
明らかに「エンディングありき」の物語作りになってしまったことである。
もう少し、キチンとした筋立てが欲しかった。
今作には歌舞伎出身と思われる大御所俳優(松方弘樹)も登場するが、
彼が冒頭テレビ版『江戸桜風雲録』終了時に加美山に向かって
「^_^あた必ずこの舞台に戻ってくるからな」みたいなことを言うが
(クライマックスに向けてのフリのつもりなんだろうが)、
それほどの大御所俳優ならば、
やはり三船敏郎や勝新太郎、果ては一部ハリウッド俳優のように私財を投じるなり、
世界の北野のようにせっせと金集めしてでも舞台を作り上げる努力をなぜしないのか
(だからこそ、「生涯一俳優」とか言ってた高倉健を、
わしはあまり高く評価しないのだが)。
「無いなら作る」ぐらいのワガママは、
ことショウビズの世界においては大いに許されると思うんだが…。
そういうたくましさの無さを痛感させてくれるという意味で、
今作には今ひとつ希望が感じられないわけである。
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