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映画 『パレードへようこそ』(☆☆☆)

石油が安価かつ大量に流通するようになると、
労働集積型産業で人件費の高い石炭は、
坑内事故の危険性などもあって各国で縮小、あるいは廃坑の憂き目に遭う。
今作では、イギリスのウェールズで実際にあった、
国による大規模な廃坑と合理化に反対する炭鉱町の戦いと、
それに救いの手を差し伸べたゲイたちの闘争の顛末を描いているわけだが、
『イミテーション・ゲーム』でも描かれているように、
同性愛はキリスト教圏において宗教的に犯罪である。
であるがゆえに、彼らからの協力を露骨に嫌う者も、
炭鉱労組の中には相当数いる。
しかし、そこの組合長というのが、度量があるというか、
自分たちが確実に困っている以上受けられる援助はなんでも受けてやろう、
といった人であり、
また反権力という意味でも連帯できる要素があると考えたのだろう。

もちろん、ゲイ側にもこういう目につく活動が
自分たちの立場をさらに不利にするのでは、という思惑があったり、
1984~1985年という、エイズが世界的に流行し始めていた時期であり
(同じくエイズを扱った『ダラス・バイヤーズクラブ』も同時期のアメリカが舞台)、
他人のことにかまっていられない者も少なくなかった。
結果として、炭鉱ストは失敗に終わるのだが、それは完全なる失敗ではない。
全イギリスの炭鉱労組は、彼らの献身に感謝し、
1985年の「ゲイ・プライド」(ゲイパレードのイベント)に、炭鉱労組が大挙して参加。
さらに、イギリス労働党が、
全国炭鉱労組の強力なプッシュに負けて党規則に
「ゲイに関する権利」の条項を盛り込むに至ったというのである。
地道な活動が、大きな実を結んだと言えるだろう
(もっとも、アメリカでは1970年代からセクシャルマイノリティが
政治的に一定の発言力を持ち始めていたことは『ミルク』などで描かれているが)。

今作の中で、ゲイ側の中心だったマークの行動について
詳しく語られていない部分があったのだが(唐突に行動に移るような描写がある)
ザンネンなポイントではあるが、
こういう連帯の仕方はあまり日本では見られないことであり
(そういうところが「ムラ社会」と呼ばれる所以なのだが)、
「ボランティア(働き手)」よりも「チャリティ(カネやモノ)」の方が助かる、
という話とも言える。
もっとも、日本は「天皇」っていう重しがあるせいで、
国家をひっくり返す的民衆暴動が起こりにくい国なので、
こういう連帯があってもなかなか広まって行かないだろうけどねぇ…。

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