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映画 『海にかかる霧』(☆☆☆)

日本でも70年代ぐらいにあったっぽい、泥くさい労働者モノ。
「一山一家」の炭鉱労働者よりももっと濃密な
「一船一家」とも言うべき漁師たちの物語。
しかし、船長が自分の持ち船を大事に思う気持ちはわかるが、
国から補助金だって出るんだし、
あちこちガタが来てるボロ船にいつまでもしがみついてなくてもいいんじゃ…、
と思わなくもないが、
そういうことでは話が成り立たないので、
できれば船長がなぜそこまでその船に執着するのか、
もっときちんと描いて欲しかったというのが正直なところ。

そこは措くとして、
そのボロ船を維持するために船長は独断で密航に手を染めるのである。
しかし、ココにも穴があって、
船長も甲板長も「女性が船に乗ること」を忌避するような、
古いタイプの船乗りなのである。
実際、あの血の気の多い若い船員たちのそば近くに女性がいたら、
仕事にならないだろうけど、
だからと言って密航者の選別をできるわけもないわけだし、
まぁ慣れないことはするものではない、としか言いようがない。

案の定、密航者を魚艙に入れたのはいいが、この船はボロ船。
魚艙冷却用のフロンガスが魚艙内に充満、
密航者は一人を除いて全員呼吸困難で死亡。
残った一人が、また悪いことに女性(しかも若い)で、
船員の中でいちばん若くてウブなのと恋仲になってる
(密航船に乗り移る時に助けられた縁というのもあるが)。
船長は、証拠隠滅を図ろうとするのだが…。

確かに、船の維持に奔走すること自体は、船長として当然の責務である。
しかし、そのために結局危ない橋を渡るぐらいだったら、
やはり国からの補助金を有効に使うべきだったし、
「密輸」ではなく「密航」と聞いた時点でこの話から手を引くべきだっただろう
(だから、そういう合理的な思考をする人間では話が進まないんだけど…)。
とはいえ、こういうしょーもないツッコミを許す理由は、
とりも直さず船長の船に対する執着の理由がいっこうに見えないからである。
つまり、今作はそもそも作り込みが浅いのであって、
そのことが説得力を失わせているのである。

スキのない作品を作れ、とは言わないが、
こういう致命的なスキのある映画では、
観客を作品世界に引き込むことは難しいだろう。

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